コロナ第3波とPCR論争
Japan In-depth / 2020年11月28日 19時0分
では、日本はどうだろう。約40%の専門家が「科学的」、25%が「非科学的」と回答していた。24カ国中17位で、アジア5カ国中では最低だ。コロナ流行中に、「Go Toキャンペーン」を強行するなど「非科学的」と言われても仕方ない。
ただ、「Go Toキャンペーン」は苦境に立つ旅行業界や地方都市へ配慮せざるを得なかった政府の立場も理解できる。科学的には妥当ではないが、政治的評価はわかれるところだろう。この判断は、菅政権が感染対策と経済対策の何れを優先しているかという点で分かりやすい。
▲写真 Go To トラベル 出典:Wikimedia Commons; Indiana jo
問題は、科学的判断とされているものが、間違っている場合だ。科学的な妥当性は専門家しか判断できず、誰からもチェック出来ないため、容易に暴走してしまう。これこそ、現在の日本がおかれた状況だ。
最近、このことを象徴するケースがあった。それは11月25日の衆議院予算委員会で枝野幸男・立憲民主党代表に対する田村憲久厚労大臣の答弁だ。PCR検査が増えない理由を質問され、「ランセットに掲載されている論文だが、(感染の)蓋然性高いところで定期的に検査をやると、当該集団から感染を29~33%減らすことができるが、一般の集団に広く検査をした場合には、接触者調査とこれに基づく隔離以上に感染を減らす可能性は低い。だいたい2%くらいしか自己再生産を下げる(下げない)」と答弁した。
さらに、「アメリカは1億8千万回検査しているが、毎日10数万人が感染拡大している。こういう論文が載っているわけですので、以前から申しているように、蓋然性の高いところはしっかりやっていくが、すべての国民に(検査をする)という話になると、強制的に一定期間で、全ての地域のその地域を(検査を)やれれば、一定の効果があるが、日本では強制ができない。これが世界で起こっていることだ。アメリカ、ヨーロッパでは、日本以上に検査を行っているが、感染拡大は日本以上に起こっている」と見解を述べた。
この見解が的外れなのは表1,2を見れば明らかだし、医学的にも間違いだ。田村大臣が紹介したのは、6月16日に『ランセット感染症版』が掲載した「CMMID COVID-19ワーキンググループ」のモデル研究だ。確かに、この中で、彼らは、一般集団を広く検査しても感染は5%しか減らせないが、発症者を見つけ、家族とともに隔離し、さらに接触書をトレースすれば感染を64%も減らすことができると推定している。
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