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海自FFMと隊員減対策(後編)

Japan In-depth / 2021年1月12日 23時0分

戦後、軍艦の役割は潜水艦との戦いであるが、潜水艦相手なら20ノットも出さないので、余分を見越しても最高速力は27ノット程度で十分だ。つまり高い最高速度に頼る必要性はなくなっている。





実は海自でも最高速度の低下の方向に舵を切っている。(※参考記事『護衛艦「まや」の速力切下げは正しい』)





各イージス艦の基準排水量と機関を比べて見よう。





こんごう級 基準排水量7,250トン、機関LM2500×4 出力10万馬力





あたご級  基準排水量7,700トン、機関LM2500×4 出力10万馬力





これに対して最新のまや級は、基準排水量8,200トン、機関LM2500×2 出力6万9千万馬力





海自ホームページによれば以前のイージス艦の最高速度は30ノットと記載されており、まや級も「約30ノット」とされている。





だが、まや級以前の機関出力は以前のイージス艦の7割弱である。対して排水量はこんごう級より約千トン、1.13倍増えている。先の引用の著者、文谷氏だけではなく、内嶋修元自衛艦隊司令部幕僚長も、あたご級の実質的な最高速度は30ノット弱と推定している。恐らくこれは正しいだろう。事実上、これは海自の方向転換だと見ていいだろう。





▲写真 護衛艦まや 出典:海上自衛隊ホームページ



まや級は以前のイージス艦などがガスタービンエンジンを採用したのに対してCOGLAG(COmbined Gas turbine eLectric And Gas turbine:ガスタービン・エレクトリック・ガスタービン複合推進方式)を採用している。これは、巡航時は発電用のエンジンで用いたターボ・エレクトリック方式による電気推進を使用し、高速時にはガスタービンエンジンによる機械駆動も併用して推力を得る方式である。まや級は発電機として6メガワットのガスタービンエンジンと、1.8メガワットのディーゼルエンジン各二基になっている。





更にこれを統合電気推進にすればギアや長いシャフトも必要なくなる。また船体にも余裕がでるし、エンジンの場所も自由にレイアウトできる。消費燃料が減れば環境対策にもなる。スペースに余裕ができるならば搭載ミサイルも増やせるし、水陸両用部隊や特殊部隊を収容することなどもできる。実際に欧州ではそういうフネも増えている。





船体の余裕ができれば、乗組員の居住環境の改善も可能だ。また発電力が大きくなるので艦内の機器を電動化できる。油圧で動いている装置を電動化すれば整備が容易になって省力化になるし、火災に対しても強くなる。更に将来レーザー兵器などの導入に対する余力も生まれてくる。加えて燃料費も低減できる。因みに3自衛隊で一番燃料を使用しているのは海自だ。これを削減できればその分の予算を他に振り向けられるし、二酸化炭素削減にもなる。





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