海自FFMと隊員減対策(後編)
Japan In-depth / 2021年1月12日 23時0分
低速化、統合電気推進化で浮いた建造費や維持費用、燃料代を隊員の航海手当に回すこともできる。そうすれば多少なりとも、リクルートも楽になる。つまり統合電気推進を導入し、30ノット以下、できれば27~28ノットにすれば隊員確保や他にも大きなメリットがある。根拠の怪しい30ノット以上の最高速度にこだわることはやめるべきだ。
これはFFMにも言えることで、28ノット程度の速度に抑えれば建造、運用コストは劇的に削減できたはずだ。
海自がどうしても30ノット以上が必要というのは先のまや級の例で挙げたように、後退している。にもかかわらず、30ノット以上が必要だと主張するのであれば、納税者にその理由を説明すべきだ。
民主国家の軍隊ならばそのような概略程度を秘密にすることはありえない。本来秘密でもなんでもないのだから。秘密にせざるをえないならば、何か探られたくない問題があると思われても仕方あるまい。このような秘密主義は寧ろかつての帝国陸海軍や中国海軍に近い。「民主主義の軍隊」としては失格だ。
このような民主国家ではありえない情報隠蔽をして多額の税金を使用するほうが、寧ろ有害といえよう。民間人が知る必要はなし、というのは「軍人」の傲慢である。前の戦争もその傲慢と秘密主義が戦争突入と敗戦につながったのは歴史の示すところだ。同盟国の米国は軍隊の情報をできるだけ納税者に公開しており、会計検査院や議会もこれを厳しくチェックしている。このような同盟国の情報開示は見習いたくないらしい。
政治による軍隊の予算と人事の掌握は文民統制の根幹であり、情報開示は更にその基盤である。それなくして文民統制はありえない。それが十分でないのが我が国の現状である。政治家も民間人も軍事に口出し無用というならば帝国海軍と同じだ。その帝国海軍は無謀な第二次大戦に突入して国民を巻き込んで無様に負けた。その反省をしているならば情報開示を徹底すべきだ。
前回も述べたが少子高齢化が進み、海自、特に艦艇乗組員はこれまで通りの人員を確保できなくなることは目に見えている。クルー制導入によって航海時間を短縮して乗員の負担を減らすことは勿論、艦隊の規模を縮小し、乗組員の総数を縮小せざるを得ないのは明白だ。
例えば充足率が7割にも満たず、医官も乗っていない艦艇を数だけ揃えてもまともな戦力にはならない。
海上自衛隊の艦隊の規模の縮小は必至だ。現大綱の護衛艦54隻、哨戒艦12隻、潜水艦22隻は砂上の楼閣にしか過ぎない。旧式艦やミサイル艇の早期退役、FFMの隻数低減、有用性に疑問がある哨戒艦はキャンセルして、フネの数を減らし、海上哨戒などの任務はUAVに肩代わりさせるべきだ。
この記事に関連するニュース
-
海自の自衛艦隊が70年 横須賀基地停泊の護衛艦「いずも」で式典 「同盟国とともに平和寄与」
カナロコ by 神奈川新聞 / 2024年7月1日 21時50分
-
海自自衛艦隊が創設70周年 護衛艦「いずも」で式典
毎日新聞 / 2024年7月1日 19時21分
-
いま何番艦? 最新護衛艦「なとり」進水 海上自衛隊では初の名前 由来は東北・宮城県
乗りものニュース / 2024年6月24日 10時52分
-
「ロシア海軍の最新艦」北海道のすぐ近くに出現!宗谷海峡で“遊弋”も 自衛隊が警戒監視
乗りものニュース / 2024年6月23日 11時42分
-
海自新型「ドデカ水上戦闘艦」に搭載の“神エンジン”とは 人員削減時代の“新兵器”見据えた選択に?
乗りものニュース / 2024年6月8日 6時12分
ランキング
-
1NYで人脈構築の小室圭さん、対照的な生活の眞子さんは「ほとんど外出せず」紀子さまが抱える“複数”の不安
週刊女性PRIME / 2024年7月4日 7時0分
-
2実刑判決で「頭が真っ白に」 法廷に両親の涙 静岡バス置き去り死
毎日新聞 / 2024年7月4日 20時58分
-
3「紅麹」サプリ問題、調査中の死亡事例81人に…先月末から5人増
読売新聞 / 2024年7月4日 20時59分
-
4介護従事者が利用者の『財産搾取』 80代の姉妹は生命保険を解約、自宅を売却...金銭的支配の実態をスクープ「(養子縁組を)させられたんや」
MBSニュース / 2024年7月3日 11時28分
-
5【園児バス置き去り】元園長らに判決言い渡し…裁判長が涙にじませ付言「子どもの命守る大切さ忘れていた」(静岡)
Daiichi-TV(静岡第一テレビ) / 2024年7月4日 17時18分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください