海自FFMと隊員減対策(後編)
Japan In-depth / 2021年1月12日 23時0分
これまた稼働率が5割の哨戒機100機よりも、稼働率が9割の哨戒機60機の方が役に立つのは自明の理である。機数を減らして機体の稼働率を上げ、クルーを増やし、UAVで補完すれば多くの機体を維持するより、費用対効果は高くなる。
UAVの操縦は、航空機に搭乗が可能な身体が頑健な隊員でなくても可能である。傷病で飛行や激務ができなくなった隊員や、艦艇乗組に向かない隊員、退職した隊員を再雇用してこれに当てれば人員の有効活用ができる。また通常の自衛官の基準では採用されなかった障害者などの活用も可能だ。これは公官庁の障害者の雇用拡大という面でも大きな意義がある。これらは隊員募集難に対しても有効な手段となりうるはずだ。
繰り返すが、自衛隊全体として少子高齢化によって人員の確保は年々厳しくなっている。特に海自の艦艇乗組員の確保は困難である。今までの「常識」や現状維持を自己正当化しても多数の艦隊維持に必要な人員の確保は不可能だ。そうであれば、パラダイムの転換を受け入れて、艦隊を縮小し、クルー制の拡大導入やUAVなどの活用によって海上自衛隊のあり方を根本的に変える必要がある。
(前編はこちら。全2回)
トップ写真:FFM二番艦くまのの進水式(2020年11月19日 三井E&Sホールディングス玉野工場) 出典:海上自衛隊ホームページ
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