海自FFMと隊員減対策(後編)
Japan In-depth / 2021年1月12日 23時0分
例えば、あぶくま級型護衛艦6隻の除籍、はつゆき級型護衛艦4隻の除籍、あさぎり級型護衛艦6隻、はやぶさ級ミサイル艇6隻の除籍を数年以内に実施すれば、定員上で約2,850名、実員が80パーセントの充足率だとしても約2,280名が捻出できる。
FFMは22隻が調達予定だが、4隻減らし、現大綱で12隻導入される乗員30名程度の哨戒艦をキャンセルすれば定員で約720名、充足率8割としても約570名が減らせる。
これらを合わせれば定員で約3,600名、充足率8割で2,900名の削減が可能だ。浮いた人員を充足率向上と、クルー制の拡大にあてる。クルー制が拡充すれば艦の稼働率は上がり、艦艇数を削減してもその影響は緩和される。端的に申せば、乗員7割の10隻で稼働率の低い艦隊よりも、乗員10割で稼働率の高い5隻の艦隊の方が戦力になる。
その代わり、洋上監視などの任務はUAVで水上監視を行えばいい。海自は艦艇による哨戒はUAVに置き換えられないとしているが、UAVの方がむしろ広範囲の哨戒が可能であり、速度も艦艇よりも早い。また近年のUAVは監視だけではなく、ソノブイの搭載や魚雷、ミサイルを搭載できるものも存在する。艦艇の任務は相当カバーできるはずだ。
既に海上保安庁は本年米ジェネラルアトミックス・エアロノーティカル・システムズ社の海上哨戒用UAV、を本年我が国で試験した。例えば海保がシーガーディアンを採用するならば、これに相乗りすれば整備や教育の面でコストも大幅に削減できるだろう。
▲写真 海上保安庁が実証試験で使用したUAV「シーガーディアン」 出典:海上保安庁ホームページ
更にP-1哨戒機も一部をUAVに置き換えて、調達機数を減らし、併せて1機あたりの乗員のチームを増やすべきではないか。海自は1機あたりのクルーの数は明かせないとしているが、これまた納税者に公開して議論を行うべきだろう。
P-1は機体が高価で、機体もエンジンも専用であるために維持費も高い。そして11名の乗員が必要だ。複数のクルーで1機を導入すれば機体の稼働率が上がり、ある程度の機数を減らしても機体の稼働率は減らない。また機体を減らせば整備費が少なくてすみ、結果稼働率も上がる。
実際問題として海自ではP-1よりも整備費が少ないP-3Cですら整備費用が捻出できず、既存機から部品を外して利用する共食い整備は日常化している。より維持費が高いP-1をP-3Cの更新として大量に導入すれば整備費が不足して稼働率は大幅に下がるのは火を見るよりも明らかだ。無理して機数を確保しても共食い整備で使えないならば調達する意味がない。
この記事に関連するニュース
-
海自の「最新護衛艦」売って! いや“アタマだけ”売って! 政府が夢見た“輸出”に現実味 何がよかったのか?
乗りものニュース / 2024年11月27日 9時42分
-
海自の艦艇は脆弱で戦争ができない
Japan In-depth / 2024年11月19日 16時10分
-
航行中のフェリ―が海自の「壮観な艦隊」に遭遇!まるで空母機動部隊!? イージス艦も出現
乗りものニュース / 2024年11月16日 6時12分
-
海自がロシア軍の「巨大な最新原潜」を初確認!北海道沖に現れる 防衛省が画像公開
乗りものニュース / 2024年11月13日 6時12分
-
中国海軍の国産空母と巨大ミサイル艦が日本近海に出現!「ベテラン護衛艦」が警戒監視 艦載機の発着も確認
乗りものニュース / 2024年11月6日 6時12分
ランキング
-
12025年に思い出が消える!?「ビデオテープが見られなくなる」問題【THE TIME,】
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年11月27日 9時0分
-
2東京・文京区のマンション火災で2人死亡、火元は猪口邦子参院議員宅…夫と娘1人と連絡取れず
読売新聞 / 2024年11月28日 1時11分
-
3輪島市など震度5弱、住民不安「電柱倒れるのでは」…元日とは別の断層の可能性
読売新聞 / 2024年11月27日 21時54分
-
4国民民主・玉木氏、異例の官邸訪問=石破首相に原発新増設を要望
時事通信 / 2024年11月27日 20時9分
-
5出品者に情報提供求める=アマゾンジャパンの独禁法違反―公取委
時事通信 / 2024年11月27日 19時31分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください