官僚に数字合わせ強いる46%目標の愚
Japan In-depth / 2021年8月4日 11時0分
■ エネルギーミックス案は中国を利するだけだ
2050年カーボンニュートラル、2030年46%減目標も世論調査の結果は概ねポジティブなようだが、野心的な目標の意味するところを果たしてどれだけの人が理解しているのだろうか。ツケを実際に払うのは産業部門であり、家庭部門なのである。電力中央研究所の調査によれば国民の8割は再エネ推進に賛成している一方、再エネ普及のコスト負担をしたくない人は36%もおり、負担を許容する66%のうち7割は電気料金に占める賦課金の割合が5%以下であることを望んでいるとのことだ。
(参考:2030年における太陽光発電導入量・買取総額の推計と 今後の制度設計のあり方)
しかし現在の電気料金の中で賦課金の占める割合は既に12-15%程度に達している。再エネ目標の大幅な上積みを太陽光で賄うことにより、賦課金の割合は更に拡大し、毎月の電力料金は間違いなく上昇するだろう。追加的な負担の大半は、新疆ウイグル自治区の強制労働と安価な石炭火力を使ってつくられた中国製パネルに費やされ、産業用電力料金の更なる上昇は企業の収益を蝕み、製造業の立地環境はますます悪くなる。日本が世界に誇る高効率石炭火力技術の海外展開の道は断たれる一方、中国は世界中で石炭火力を作り続けている。日本が培ってきた原子力産業、原子力人材が日本の閣僚の手で窒息させられようとしている中、中国は世界の商用原子力市場で存在感を増そうとしている。日本が高いコストを払って46%削減したとしても、中国は2030年まで排出量を増やし続けるため、温暖化防止には何の効果もない。こんなことに多大な国費を投ずるべきなのだろうか。
こう考えてみると、小泉環境大臣が旗を振っている施策はあらゆる面で中国を利するのみである。小泉大臣はCOP25で化石賞を2度受賞したが、日本経済を毀損する種を蒔いた「功績」で、中国から勲章を授けられてもいいくらいである。
トップ写真:Yokohama, Japan - October 6, 2011: Thermal power plants in Isogo ward of 出典:Jiangang Wang/GettyImages
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