地域医療機能推進機構の役割を問う
Japan In-depth / 2021年9月27日 23時0分
上昌広(医療ガバナンス研究所理事長)
「上昌広と福島県浜通り便り」
【まとめ】
・コロナの流行は季節性があり、冬の流行は夏よりも大きく、病床確保は喫緊の課題。
・普段から各病院は経営改善を促され、医師や看護師の人数も抑制されコロナ患者を受け入れるのは難しい。
・厚労省管轄の地域医療機能推進機構(JCHO)や国立病院機構(国病)などの独立行政法人を活用していくべき。
新型コロナウイルス(以下、コロナ)の第5波が収束した。いま、我々は何をすべきか。それは来るべき第6波への準備だろう。最優先すべきは、十分な治療を受けることなく、亡くなる人の数を減らすことだ。
9月25日に朝日新聞が発表した独自調査によれば、8月末までに206人が自宅や施設療養中に亡くなっている。もっとも多いのは東京で90人だ。44人が第5波の最中で、25人は50代以下だった。多くは、早期に治療を受けていれば助かっていただろう。
コロナの流行は季節性があり、冬の流行は夏よりも大きい。今冬の感染者のピークは、1月11日の51.1人(人口100万人あたり、7日間平均)で、昨夏の11.0人(8月9日)の4.6倍だ。来たる冬場の流行は、今夏の数倍になる可能性がある。病床確保は喫緊の課題だ。
今回の流行で明らかになったように、ワクチン接種が進み、感染の実態が変わってきた。イスラエルやシンガポールから報告されているように、ワクチン接種を終えても、コロナには罹る。感染自体を予防する効果は約50%だ。ただ、重症者・死者は少ない。米疾病対策センター(CDC)は、ワクチン接種により死亡率は11分の1まで低下すると報告している。
9月23日現在、日本のワクチン接種完了率は56%。毎月10%程度の国民が接種を完了しているので、このままのペースで進むとすれば、流行が本格化する11月末までには75%程度の国民が接種を終えているだろう。冬場感染の主体は、ワクチン接種者のブレイク・スルー感染となる。大部分は軽症~中等症で、その中の一部が重症化する。軽症~中等症患者を収容し、早期に治療を提供する施設が必要となる。それは大学病院のような高度医療機関の仕事ではない。
8月30日、大阪府の吉村洋文知事は感染者を1か所に集めて治療する、いわゆる「野戦病院」を設立する意向を明かした。10月中の開設を目指し、最大1,000床規模を想定している。
医療機関を絞り、軽症~中等症の患者を集中的に治療することは、感染対策の観点からも適切な対応だ。ただ、新規に野戦病院を開発する前に、もっとやれることがある。それは、厚労省が管轄する独立行政法人の活用だ。その代表が地域医療機能推進機構(JCHO)や国立病院機構(国病)である。JCHOの理事長は、コロナ感染症対策分科会の会長を務める尾身茂氏である。
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