「ランボー、鷗外、そして日本の未来」続:身捨つるほどの祖国はありや10
Japan In-depth / 2021年10月12日 19時0分
感動を呼ぶものは、不可能と思われることに挑戦し、勝利することである。敗れたとしても、感動の種類が違うだけで、人の心を揺さぶることに違いはない。
しかし、人生の悲劇は、勝利した日にも、翌日がやってくることである。それどころではない。さらにその翌日も、その次も、確実にやってくる。つまるところ、際限のない日常が続くのである。人はなんにでも慣れるものなのだ。
鷗外が「かのように」生きるしかないと達観した所以である。
ランボーは、あれもこれも無視して、詩を棄て、アラビアとアフリカを武器の取引を含む仕事で往き来し、自分の詩が母国で大きな話題になっていることにも関わらず、最後には片脚を切断したあげく、37歳で死んだ。鷗外がドイツからやってきた恋人と東京で別れた3年後のことである。
人は生まれ、生き、そして死ぬ。サマセット・モームがたった一行にまとめた、人の人生である。
私は、団塊の世代の一人として、失われた30年の日本に暮らす次の世代、次の次の世代の人々の未来が気になってならない。理事長を務めるコーポレート・ガバナンス・ネットワークで「失われた30年 どうする日本」という1年間の特別プロジェクトに賢人たちをお招きせずにおれない理由である。
命の砂時計では、砂が落ちる速度がどんどん増すばかりというのに、まことに雀百まで踊り忘れず、とでも言うしかない。
いつも、どんなときにも、前に向いて進まずにおれない性分に生まれついたのである。
(続く)
トップ画像:ポーランドのアニエスカ・ホランド監督の映画「太陽と月に背いて」でアルチュールランボー役を演じるレオナルドディカプリオ(1995年1月17日) 出典:Photo by Etienne George/Sygma via Getty Images
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