小室さんの論文コンテスト優勝はどれくらいすごいのか
Japan In-depth / 2021年10月27日 10時54分
岩田太郎(在米ジャーナリスト)
【まとめ】
・小室圭氏、ニューヨーク州弁護士会の論文コンテストで優勝。
・前回の論文は、SECの規制基準の明確化などの提言を行っているが、一般論の域を出ていない。
・今回の受賞作も「コンプライアンス規制の起業家への影響」など、一貫して、相互が信用できる社会のため設計された規制や説明責任から生じる制約に対する疑問や問題意識を示している。
秋篠宮皇嗣殿下の長女である眞子元内親王(30)と10月26日に結婚した小室圭氏(30)がニューヨーク州弁護士会の論文コンテストで優勝し、賞金2000ドル(約23万円)を獲得した小室氏の表彰式がオンライン形式で、結婚の次の日の日本時間27日に行われると、日本のメディアが一斉に報じている。
その横並びの報道スタイルからして、結婚に関するプロセスや発表を一貫して「プロデュース」していると伝えられる元内親王の意を体した宮内庁が流したニュースであると思われる。
ニューヨーク州の弁護士資格を持つ清原博氏はワイドショーで、「ロースクールの授業の予習復習も大変なのに、なおかつ司法試験の勉強もある。さらに論文も書く…。これはスーパースターですよ。スーパーマンですよ」と絶賛。婚姻届提出、そして表彰式という流れに「おめでた続きですよね」と祝福した。また、カリフォルニア州の弁護士資格を持つケント・ギルバート氏は、「英文読みましたけど、ばっちりです。大丈夫です」と太鼓判を押した。
ネットでは、「本当であればすごい」「実力があるのだな」などの感想が上がっている。一方で、「出来レース」「代筆だろう」など疑問視する声もある。それに対し雑誌Flashは、「難癖だ」と断じ、「その実力に偽りはないはず」とする。
この賞に関する知識が一般国民にないだけに、受賞報道をどのように捉えてよいのか戸惑う人が多いようだ。そこでこの記事では表彰式に当たり、①授賞組織と賞の位置付け、②小室氏の論文の法学上の価値、そして、③小室氏の執筆スタイルを分析したい。
■ すごい賞ではない
まず、授賞者について見てみよう。日本では「ニューヨーク州弁護士会」と報じられている。それ自体は間違いではないのだが、実際にはニューヨーク州弁護士会の下部組織のひとつである「ビジネス法部門」が審査と選考を行う主体だ。さらに、賞は学生向けのものにすぎない。
ここで日本のマスコミは、上部組織の「ニューヨーク州弁護士会」が授賞者であるような印象を与え、学生論文コンテストのひとつに過ぎないものを、さも「すごい」一般コンテストと思わせることにより、いつものように「盛って」いる。たとえば、京都市教育委員会の子ども若者はぐくみ局から表彰を受けた人が、「私は京都市から賞を受けた」と主張するようなものだ。間違いではないが、授賞組織や賞の重要度について誤解を与える。
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