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EUの対中姿勢、微妙に変化

Japan In-depth / 2021年12月22日 23時0分

インド太平洋地域をめぐっては、日米豪印の4カ国(クアッド)が9月にワシントンで対面での首脳会議を開くなどその重要性を認識し、関与を強めているが、EUの戦略はもちろんクアッドを意識したものだ。





■ 台湾との交流





2020年以来、欧州では台湾との関係強化を探る動きが特に議員レベルで目立つ。台湾は、フランスやチェコ、スロバキア、バルト3国(ラトビア、リトアニア、エストニア)から議員や政府職員の訪問団を受け入れた。このうちリトアニアは台湾名を冠した窓口機関(大使館に相当)の開設を認めた。





中国はEU加盟国議会の議員の訪台のたびに「二つの中国につながる策動」だとして非難してきた。EU加盟各国の間では巨大な市場である中国との関係の在り方で温度差があるようだが、北大西洋条約機構(NATO)にも加盟する旧ソ連東欧の小国の間では議員レベルで台湾との交流強化を探る動きが目立つ。





フランスからは10月にリシャ―ル元国防相ら超党派議員4人が訪台した。フランスのマクロン政権はこれを黙認した形だ。同政権は米英加豪などの22年2月の北京五輪の「外交ボイコット」には参加しない方針で中国への配慮もみせている。





一方、中国の圧力で台湾との外交関係を維持する国が減少する中で、台湾にとって一部欧州諸国の動きは歓迎すべきものだ。しかし、台湾には巨大市場を抱える中国と比べて、先端半導体産業の存在などを除くと魅力に乏しいのが現状で、「外交面での苦戦」には変わりない。





■ 「一帯一路」に規模で遜色





インフラ整備支援の「グローバル・ゲートウエー」戦略では2027年までに最大3000億ユーロを投じる計画だ。EU欧州委員会のフォンデアライエン委員長は、同戦略は中国の巨大経済圏構想「一帯一路」の「真の代替案」と位置付け、欧州の影響力の拡大を狙う。





同委員長は12月1日の記者会見で、EUが手掛けるインフラ事業の質の高さや透明性、管理能力などをアピール。中国への対抗姿勢をにじませた。





一帯一路は2013年に中国の習近平国家主席が提唱。中国は圧倒的資金力を背景にアジア、アフリカをはじめ欧州でもインフラ整備支援を展開し、影響力を拡大させてきた。ただ、採算性の低い事業も少なくなかった上、返済国を借金漬けにして返済困難に陥れば運営権などを支配する「債務の罠」の問題も表面化。参加国の間では懸念が広がっている。





新戦略ではこうした懸念を踏まえて「公平で好ましい条件」での融資を強調。「法の支配」や人権といった民主主義の理念に基づくととも国際的な規範を順守し、気候変動やデジタル化などの課題解決を重視する持続可能な事業を推進する。





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