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バイデン外交の回顧と展望 私の取材 最終回 日本にとっての国難が浮かぶ

Japan In-depth / 2022年1月5日 11時0分

バイデン外交の回顧と展望 私の取材 最終回 日本にとっての国難が浮かぶ




古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)





「古森義久の内外透視」





【まとめ】





・バイデン政権にイラン核合意を復活させる動き見えず。アラブ諸国にイスラエルとの和解の流れ。中東情勢はイスラエル優遇の動きに。





・北朝鮮の非核化は話題にならず。中国の中距離弾道ミサイルに対抗し、米政権内に「日本への配備」「日本が配備」の構想浮上





・憲法9条の制約による日米同盟の特殊性・片務性に米で「不公平」との不満くすぶる。尖閣危機が想定される中、浮かぶ日本の国難。





 





アメリカの対イラン政策については背景の説明が欠かせない。





イランに対するアメリカ国民の不信感や敵意は、日本人には想像できないほど根深いものがある。





1979年11月、カーター政権の時代にイランのイスラム原理主義勢力がテヘランのアメリカ大使館を襲い、アメリカ人外交官52人を拘束し、人質にとった。そのうえで数々の要求をアメリカ政府に突きつけた。





アメリカ政府はこの行動を国際テロとして抗議したが、人質は解放されず、なんとその後444日間も両手を縛られて、イラン側の声明を強制的に読まされ、その光景が全世界に流されるという状態が続いたのだった。









▲写真 イラン・テヘランでの米大使館人質事件 出典:Bettmann/Getty Images





それでも、民主党のオバマ政権はイランと安定した関係を作ろうとした。その結果が核合意だった。





しかしその後、共和党のトランプ政権はこのイラン核合意から離脱、これに対してバイデン氏は大統領選挙中から「自分が大統領になればイラン核合意をすぐ復活させる」と公約していた。





ところが、バイデン氏が大統領に就任してから1年近くが経ったが、イラン核合意を復活させる動きは出てきていない。そのため、民主党のリベラル派からは、「なぜ早くやらないのだ」という不満の声が出ている。





バイデン大統領が核合意を復活させようとしないのは、イランが譲歩する姿勢を見せていないからだ。6月には反米的姿勢をとる保守強硬派のライシという人物が新大統領に選ばれた。









▲写真 反米保守強硬派のライシ大統領(2021年6月6日 イラン・テヘラン) 出典:Majid Saeedi/Getty Images





アメリカ国内では、共和党だけではなく、民主党内部でも、イランに対して宥和的な態度をとるのはよくないという考え方が強くなっている。そのため、バイデン政権もイランへの警戒感を崩していない。





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