五輪イヤー侵攻はロシアの〝お家芸〟過去傍観の米は露の面子保つ解決策を
Japan In-depth / 2022年2月11日 11時0分
様々な解説、見方がなされている。
いずれも米国の大統領選の年に起きていること、チェコ事件についていえば、ジョンソン政権が、戦略兵器制限交渉(SALT)を控え、ソ連を刺激したくなかったこと、アフガニスタン問題では、テヘランの米大使館人質事件の発生直後で、カーター政権が、この解決に忙殺されていたーなどだ。
いずれももっともらしい分析だが、背景にあるのは、もっと本質的なことではあるまいか。
アメリカが、ソ連とその衛星国との問題に関わるのを、あえて避けたとみるべきだろう。冷戦たけなわの当時、相手の勢力圏に手を伸ばすことは、力のバランスを失わせ、まがりなりにも保たれていた東西の共存体制を崩す危険があったからではないか。
■ 米は融通無碍な外交で決着図れ
しかし、いまは状況が異なる。
冷戦ははるか昔の物語、ソ連も消滅した。
今日、アメリカは世界の問題に関与するに、だれはばかることはない。
今回のウクライナ危機でアメリカは、周辺国に兵力を派遣、ロシアをけん制する一方、プーチン大統領が武力侵攻を強行すれば、大規模な経済制裁を断行する構えをみせている。国際貿易のドル決済からロシアを締め出すことなどが検討されているという。しかし、強硬策一辺倒でいいのか。
2月7日に行われたプーチン大統領とフランスのマクロン大統領との会談について仏側は「ロシアがあらたな軍事行動をとらないと約束した」などと発表した。ロシア側は翌日、これを否定したが、どちらが真相かはともかく、ロシアがかならずしも、武力にこだわっているのではないという事実が透けて見える。
▲写真 露仏首脳会談 右プーチン大統領、左マクロン仏大統領(2022年2月7日) 出典:ロシア大統領府
アメリカとしては、振り上げたこぶしをプーチン大統領がメンツを保っておろすことができる収束方法をさぐるべきだろう。
強硬策や武力でことを解決することだけが、超大国の役割ではない。
ハンガリー動乱、チェコ事件とは時代が違う。アメリカは唯一の超大国として、どの国とも、どの首脳とも忌憚なく話ができる融通無碍な外交政策を展開すべきだろう。
トップ写真:プーチン露大統領、バイデン米大統領、ウクライナのゼレンスキー大統領に扮した抗議者たちが、ウクライナ戦争の脅威に対し外交的解決を要求するデモを行う。(2022年2月9日、ドイツのベルリンで) 出典:Photo by Sean Gallup/Getty Images
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