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自民党に安全保障の当事者能力はあるのか

Japan In-depth / 2022年6月4日 18時0分


資料2・出典)財務省「防衛 2022年4月20日」



資料3・出典)同上


そもそも自衛隊の整備予算や施設の更新ができないのは自衛隊が他国の3倍から10倍の値段で装備調達しているからで、カネがなくなるのは当たり前の話だ。


現在の防衛省の予算を一般家庭に置き換えてみると、世帯収入500万円、貯蓄なしのサラリーマン家庭でパパは通勤用国産車を定価の3倍の値段でローンで購入。ママはルイ・ヴィトンのバッグ類や、フェラガモのパンプスなどをリボ払いで、これまた定価の5倍の値段で購入。ローンとリボ払いで首が回らず、子供の給食費すら払いが滞っている状態といえる。


小野寺議員の主張はこの状態で解決策は借金を増やすことだ、というようなものだ。常識的に考えれば異常な支出を正常化するほうが先だろう。


小野寺議員は防衛産業の窮状も訴えていたが、これまた小野寺議員を含めて自民党政権、防衛省の防衛産業政策の欠如が原因だ。防衛産業が一定の規模を維持できるように統廃合を含めたリストラクチャリングもやらず、旧態然の不効率な調達を続けた結果が調達数減による、事業規模の縮小、結果撤退する企業が増えたわけだ。


他国ではその計画を議会が承認して国防省がメーカーや商社と契約する。だがその簡単な「計画を立てる」ということが我が国ではできない。だから我が国では国会議員ですら10式戦車がいったい何両調達され、調達期間と戦力化はいつまで、総予算はいくらかを知らないにも関わらず予算が通る。このような無責任体制になっている。調達が5年で終わるのか、30年後に終わるのかでは、ラインの維持費は6倍も違う。当然コストは高くなる。これは輸入品でも同じだ。



写真)富士総合火力演習で展示された陸自10式戦車(2022年5月28日 東富士演習場)


出典)Photo by Tomohiro Ohsumi/Getty Images


もう一つの理由は日本の防衛産業が防衛省に寄生する零細事業ばかりだからだ。これらを喰わせるために発注を小さくしているのだ。


その好例がヘリメーカーだ。機体メーカー3社、エンジンメーカー2社がほぼ防衛省需要に依存している。例外は川崎重工とエアバスヘリとジョイントベンチャーのBK117ぐらいだ。国内市場にしても民間は勿論、海保、警察、消防、自治体も外国製ヘリを使用している。そしてメーカーには内外の市場に打ってでて軍民両市場で一定のシェアを取りメーカーとして自立するつもりはサラサラない。50代になって親に喰わせてもらっている「子供部屋おじさん」と同じである。


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