軍拡路線追認する新聞に問う その2
Japan In-depth / 2022年9月14日 22時0分
清谷信一(防衛ジャーナリスト)
【まとめ】
・自衛隊の設備に予算が回って来なかったのは、防衛省、自衛隊が高くて低性能な装備を高額で買うから。
・マスコミが防衛費の使い方をもっと報じていれば、現在のような歪んだ装備調達偏重の予算の使い方はある程度変わっていたはず。
・日本を代表する経済紙を自称するのであれば、防衛予算の構造的な問題をまず指摘すべきだ。
日経の防衛予算関連記事は、防衛省や自衛隊の予算使い方を精査もせずに、まるで政府広報紙如く、防衛予算拡大へ世論を誘導しているように見える。そして予算の問題と法整備の問題を混同している。(日本経済新聞:自衛隊、劣悪環境で人材難 「人的資本」軽視のツケ 防衛費を問う③)
(以下、引用)
>「寒冷地や標高の高いレーダーサイトの隊舎はエアコンを整備しない基準だった。エアコン整備を一気に進めるよう促したい」。元防衛相の河野太郎氏が6月、ツイッターに投稿した。
>隊舎そのものも傷みが激しい。陸上自衛隊東千歳駐屯地(北海道)の隊庁舎は築60年弱で、外壁のコンクリートが破損して崩れかけている。大地震があれば災害対応で出動する自衛隊自体が危険にさらされかねない。
>防衛省が所有する建物の4割、9800棟程度は築40年以上だ。旧耐震基準の建物でその8割は耐用年数を過ぎている。
>18年にはトイレットペーパーを自衛隊員が自費で購入する話が国会で取り上げられた。調査によると陸自部隊の13.6%もいた。
(引用おわり)
かつてこのような「些細な問題」を日経はいつもスルーしてきた。今になってそれを急に憂うようになったのは何故だろうか。まずそのような報道をしてこなかった不明を自己批判すべきだろう。
そもそも、このようなことに予算が回って来なかったのは、防衛省、自衛隊が高くて低性能な装備を高額で買うからだ。結果として正面装備に予算を取られて、本来必要不可欠な予算をケチってきたのだ。筆者は長年問題にしてきたが、セーターの支給もしてこなかった。
そのような前提を解説もしないで、現場の自衛官は予算が足らなくて大変な思いをしていますと、浪花節的な記事を載せて世論を軍拡に誘導するならば、戦前戦中の大政翼賛会のメディアと同じだ。
筆者は河野太郎氏が防衛大臣当時、せめてサッシを断熱サッシに変えるべきだと申し上げた。最小の投資で冷暖房効率が高くなること、断熱サッシは外国製が多く、国内サッシメーカーへ断熱サッシ量産のスプリングボードになって産業振興にもなるからだ。これが実施されたかは知らないが、河野太郎氏はサッシ業界に断熱サッシに力を入れろとハッパをかけて、業界は多忙になったそうである。
この記事に関連するニュース
-
海自の艦艇は脆弱で戦争ができない
Japan In-depth / 2024年11月19日 16時10分
-
自衛隊が北海道のJR線で“貨物列車”運行「ジャガイモ列車」が走る路線で運んだものとは「有用性を確認しました」
乗りものニュース / 2024年11月11日 14時12分
-
レーザービームで迎撃だ! 初公開の「対ドローン自走システム」自衛隊観閲式に登場
乗りものニュース / 2024年11月9日 14時40分
-
自衛隊の「宇宙船みたいな新兵器」ついに試作へ!? “未来の海戦”で重要な役割 対艦ミサイルも発射可能
乗りものニュース / 2024年11月6日 11時42分
-
軍事力強化を進める日本に韓国メディアが注目=ネット「韓国も強化を」「韓日同盟を結べば…」
Record China / 2024年10月28日 7時30分
ランキング
-
1生稲晃子氏の靖国参拝報道、共同通信が訂正し謝罪…韓国の「佐渡島の金山」追悼式典参加見送りに影響か
読売新聞 / 2024年11月25日 21時46分
-
2能登地震で不明の男性か 土砂崩れ現場で「人のようなもの」発見 石川・輪島市
日テレNEWS NNN / 2024年11月25日 20時18分
-
3「クマ駆除要請の拒否を認める」北海道猟友会 全道71支部に通知
HTB北海道ニュース / 2024年11月25日 18時31分
-
4大阪メトロの座席で尻にやけど…原因は「アルカリ性洗浄剤」 警察は液体が座席に付着した経緯を捜査
MBSニュース / 2024年11月25日 18時0分
-
5<独自>ビザなし訪日客に事前審査、不法滞在者〝居座り〟防ぐ 補正予算案で調査費計上へ
産経ニュース / 2024年11月25日 21時34分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください