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「#本物の国葬」にも一理ある(下)国葬の現在・過去・未来 その6

Japan In-depth / 2022年9月27日 11時0分

「#本物の国葬」にも一理ある(下)国葬の現在・過去・未来 その6




林信吾(作家・ジャーナリスト)





林信吾の「西方見聞録」





【まとめ】





・高齢で準備が整っていたエリザベス2世女王国葬と「不測の事態」の安倍元首相国葬のコストは単純比較できない。





・国王以外が国葬に付されるには、王室と議会の同意が必要。サッチャー元首相は「社会の分断」避けるためか、国葬を辞退。





・実弟・岸防衛相の指示で安倍元首相の「家族葬」に陸自儀仗隊がルール逸脱し参列。





 




エリザベス2世女王の国葬と、英国において元首相などが国葬に付される場合についての話を続ける。


その前にひとつ予備知識を持っていただきたいのだが、日本のマスメディアでは「イギリスのエリザベス女王」と呼ばれているが、これには同意しかねる。


まず、私は必ず「エリザベス2世女王」と表記するが、これは言うまでもなく先代=エリザベス1世がいたからである。


16世紀にイングランドとアイルランドを統治し(スコットランドとの〈合邦〉は18世紀初頭)、政治の主導権をカトリック勢力から取り戻した他、そのカトリックの失地回復を狙って、スペインが派遣した無敵艦隊を撃破し、大英帝国の礎を築いたと称される女王だ。


ただし、2世と呼ばれるのは、たまたま同名だからであって、1世の直系の子孫ではない。この点は新国王チャールズ3世も全く同じで、英国王室は日本の皇室のように「万世一系」を称していない。さらに言えば「イギリス王室」という表記は、イングランドにおいてさえ違和感をもたれるだろう。


現在のウィンザー家はドイツ系で、さかのぼればフランス系、スコットランド系などが王朝交代を繰り返してきた。国号からして日本語の正訳は


「グレートブリテンおよび北部アイルランド連合王国」


で、イギリスというのはイングランドのポルトガル語訛りからさらに派生した、日本でしか通じない呼び方である。英国という呼称にせよイギリスに「英吉利」と漢字を当てたことから来ているではないか、と言われるかも知れないが、連合王国の略称として定着していると判断されるので、私はほとんどの場合こう表記する。朝鮮民主主義人民共和国では煩雑に過ぎるので北朝鮮と書くようなものだ。一緒にしては怒られるかも知れないが笑。


この話をはじめると、それこそ単行本1冊くらいの紙数が必要になってしまうので、英国王室の歴史について大づかみにでも知りたいとお考えの向きは、拙著『女王とプリンセスの英国王室史』(ベスト新書・電子版アドレナライズ)をご参照いただきたい。


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