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「#本物の国葬」にも一理ある(上)国葬の現在・過去・未来 その5

Japan In-depth / 2022年9月26日 18時0分

出典)Photo by WPA Pool/Getty Images


 そうしたわけで、今次エリザベス2世女王の国葬に、今上天皇夫妻が参列したことにはなんの不思議もない。岸田首相が、英国からの招待状が「国家元首を含め2名まで」とあったのを知ってか知らずしてか「参加の意思」を表明し、大スベリしたのには笑ったが。


 まさかとは思うが、今後3年間は解散総選挙をしなくても済むという「黄金の3年」のせいで、今や自分こそ元首だと思いこんだ、などという話ではあるまいな笑。


 ならば林は天皇を元首だと考えるのか、という疑問もあり得ようが、国際関係の中で見る限りにおいては、なにしろ天皇を英語で言えばエンペラー(皇帝)なのだから、私の答えは「然り」である。ただし、日本国民が天皇をエンペラーとして戴くべきなのか否かは、まったく別の議論になる。このあたりの論考は『超・日本国憲法』(講談社)という対談本で開陳させていただいた。


 岸田内閣に話を戻すと、これはあながち笑い事ではなく、閣議決定だけで国葬(厳密には「国葬儀」なのだが、煩雑を避けるため、本稿では「国葬」で統一させていただく。なお、この問題も後でもう一度見る)を決めたことに対しては、今や政府自民党の内部からさえ批判的な声が聞かれるようになった。


 たとえば石破茂・元幹事長などは、9月13日に開かれた自民党総務会の席上、


「(英国の国葬は)女王様でも議会の議決をとっている。(わが国でも国葬を実施するなら)主権者・納税者の了解が必要だ」


 と発言した旨、記者団に語った。


 おいおいおい、と思ったが、案の定16日にはブログを更新し


「私の事実誤認でした。お詫びして訂正させて頂きます」


 と述べた。おそらく、


「国葬の費用は全額国費でまかなわれるので、形式的ながら首相の承認を得る必要がある」


 もしくは、


「国王以外の者を国葬に付すためには、王室と議会の同意が必要である」


 という情報を、読み誤ったのだろう。ただ、石破氏の発言の趣旨自体は間違ったものではなかったと思う。


 またしても「ちなみに」だが、英国において国王以外の人物が逝去した場合について。


 まず国葬は英語でそのままステート・フューネラルstate funeralだが、国葬ではない場合はセレモニアル・フューネラルceremonial funeralと呼ばれる。字義通りには「儀礼葬」とでも訳すべきなのだろうが、これでは意味が通りにくいので、わが国では「国民葬」もしくは「準国葬」などと訳されることが多い。


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