結局「聞く力」も説得力もなかった 国葬の現在・過去・未来 最終回
Japan In-depth / 2022年9月30日 0時1分
ネット上でも、議論の迷走が見られた。
たとえば前にも紹介したことがある「ひろゆき」氏だが、当初、国葬の予算が2億円程度と発表されていたことを受けて、
「弔問外交の費用と考えれば、コスパ(コスト・パフォーマンス)がよいのでは」
などと発信していた。ところがその後、警備費用などを加えれば16億円以上、と発表されるや、急にコスパの話をやめて、国葬反対を唱える人たちを攻撃しはじめた。
9月初めにネット配信された番組で、反対デモの呼びかけ人になっている洞口朋子さん(杉並区議会議員)に対して、
「葬式で騒ぐって、人としてどうなの?」
などと迫った。彼女は革命的共産主義者同盟全国委員会(通称・中核派)のメンバーである。安倍首相の政治姿勢を美化することは許されない、という洞口さんに、
「あなたのご両親なり、お世話になった人が亡くなったとして、中核派ふざけんな、という人が葬式を妨害しに来るのはOKなんすか?」
と追い打ちをかけたが、
「まあ、私たち的には〈来るなら来いよ〉ですかね」
と軽くいなされてしまった。
「論破王」も顔色なしの図には少しだけ笑ったが、中核派というのは、立花隆氏の『中核vs革マル』(講談社)の記述を借りるなら「行動極左の典型」で、これを令和の読者にも伝わりやすいように言い換えるなら「命がけの騒ぎ屋」みたいな人たちだから、どちらに転んでもネット民の価値観を受け容れるはずがない。
そもそも「お葬式の時くらい静かにしていろ」という発想自体が胡乱であると私は考えるのだが、これについては前回きちんと述べたつもりなので、ここでは繰り返さない。
一方、笑うどころか呆れる他はなかった例もある。
事の発端は、作家の百田尚樹氏が、演出家・宮本亜門氏のツイートに噛みついたことで、
「もちろん私は行きませんが」
とつぶやいた宮本氏に対し、案内状をSNSにアップしたことを指して、
「社会人として恥ずかしい行為」「良識とマナーくらいは持とうよ」
などとツイートしたのだ。
また、ジャーナリストの有本香さんは、立憲民主党の蓮舫議員らが、欠席の意思を表明していることに対し、昔から「村八分」と言うが、それでも火事と葬式だけは例外なので「八分」としたのだと述べた上で、
「今『国葬欠席アピール』をしている人たちは、ムラ衆より低レベルなのか、否、アピールしないと自分が村八分にされるのか。哀れだね」
とまで書いた。
ところが12日、この両名にとっては業界の後ろ盾とも言える、幻冬舎の見城徹社長が、やはり欠席する旨の案内状画像をSNSにアップしていたことが明るみに出た。これに先立つ8日には、ツイッターとは別のSNSサイトで、
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