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忘れ得ぬドーハの悲劇(上)熱くなりきれないワールドカップ その2

Japan In-depth / 2022年11月25日 11時0分

「私のノルマは、日本代表をワールドカップ本大会に出場させること」


と語った際に、複数の記者が失笑したという逸話がある。日本サッカーに対する評価などその程度であり、いわゆる「アジアの壁」は超えがたいものと思われていたのだ。


しかし、オフト監督はあきらめなかった。


3連勝以外に最終予選突破の可能性がないという状況の中、ラモス瑠偉を司令塔とする新しいフォーメーションにチームの再建を託し、次なる相手の北朝鮮を3-0で粉砕してのけたのである。サッカーでは一般に、3点差がついた試合について、敵を粉砕したとかされたと表現する。


そして、前述のように過去アジア予選で勝ったためしのなかった韓国と激突するが、この試合も三浦知良の値千金のゴールで1-0。ついに6チーム中の首位に立った。


とは言え、たかだか6チームでの総当たり戦で、状況はまだまだ複雑だったのである。具体的に述べると、イラクに勝てば他会場の試合(韓国対北朝鮮、サウジアラビア対イラン)の結果にかかわらず本大会出場となるが、引き分けの場合、韓国とサウジアラビアのどちらかが引き分け以下なら2位以内(=出場決定)という状況であった。一方のイラクは、日本に勝てば他会場の結果次第で望みがつなげた。予断は許されないとは言え、かなり有利であったことは間違いない。


サポーターや取材陣にも、楽観ムードが漂っていた。これまた「根拠のない自信」とも言えないのが厄介なところで、イラクは反則の累積による出場停止で主力を欠いており、ベストメンバーを組めなかった。


一方の日本代表は、苦しいスタートであったのだが、守備の堅さは下評をはるかに超えるもので、4試合のうち3試合を無失点でしのぐなど、6チーム中の最少失点であった。得失点差の勝負に持ち込まれても有利だと考えられたのである。


そして、キックオフ。開始わずか5分で、長谷川健太のシュートがバーに当たって跳ね返ったところを、三浦知良がヘディングで押し込み、幸先よく先制する。


その後は、なんとか同点に追いつこうとするイラクの猛攻を堅守でしのぎ、1-0のまま前半が終了。この時点で他会場のスコアは「韓国0-0北朝鮮」「サウジアラビア2-1イラン」となっており、日本とサウジアラビアの勝ち抜けが有力となっていた。


ところが後半開始からほどない55分(前半45分からの累計で数える)に、同点に追いつかれてしまう。


ここで日本代表の、第一の弱点が露呈した。


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