自衛隊に当事者能力がないので、防衛費を上げても防衛は強化できない
Japan In-depth / 2022年12月3日 23時0分
だから陸自の小銃はガタが来ていて命中率が低く、作動不良が起こりやすい。表面処理が剥げて地金が光ってみている銃が多いのは、整備不良である証拠だ。予備の装備を調達すると金がかかるからだろうが、それは「軍隊」の発想ではない。陸自は戦争を想定していない。
更に申せば自衛隊は元々稼働率など気にしていなかった。3自衛隊の主要装備の稼働率が調査されたのは15年ほど前であり、内局の装備課の主導によるものだった。だがその後も東日本大震災という「有事」があったが、3自衛隊は稼働率に無関心であった。件の課長は余計なことをしたと、とばされた。それが今になって予算獲得のために、稼働率の低さをアピールしているのだ。
無人機も問題だ。自衛隊は無人機の導入で中国やトルコ、パキスタン、イラクなどより遅れている「UAV後進軍隊」だ。それでも陸自は2001年から特科(砲兵)観測用のFFOS( Flying Forward Observation System)、2007年からその発展型で偵察用のFFRS (Flying Forward Reconnaissance System)という二種類のヘリ型導入している。
だがこれらは性能、信頼性が低く演習場でしか使い物にならない。2011年に起きた東日本大震災ではこの二種の無人機は一度も使用されなかった。それは信頼性が低くて、墜落による二次被害が起きる可能性が高かったからだ。この事実は筆者がスクープして明らかになり、国会でも防衛省がその事実を認めた。
因みに防衛省のサイトではFFRSについてNBC(核・生物・化学)戦環境、大規模災害の偵察に必要であり、開発は大成功だったと自画自賛していた。
当時、防衛事務次官が「福島第一原子炉に対する偵察をこれらの無人機がつかわれず、フジインバック社の民間用の固定翼無人機が使用されたことを記者クラブのキャップクラスへのレクチャーで、陸自の無人機のビデオカメラの可動角度が小さいから」と説明していた。だがフジインバック社の田辺誠治社長は「ウチの機体はカメラ固定です」と証言している。つまり、次官は陸幕に騙されていた、ということになる。組織防衛のためには、次官を騙し、結果国民を騙してもいいというのが自衛隊の論理だ。
これら無人機の信用性が低いということが明らかになって、震災の復興特別会計で新しい無人機が必要だとして、ボーイング社のスキャンイーグルとフジインバック社のB2型のサンプルが調達された。結果スキャンイーグルが採用されたが、これが装備として調達され始めたのは2019年、戦力化は2020年からである。震災から9年経ってやっとであり、あまりにスローモーだ。しかも信頼性、実用性に欠FFOS、FFRSの部隊は未だに解体されていない。
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