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軍拡政策はアベノミクスが失敗だったから

Japan In-depth / 2022年12月21日 11時0分

仮に安倍元首相の「思いつき軍拡」が必要であってもアベノミクスが実際に成功してれば、所得税、消費税、法人税などが伸びて国債で軍拡など必要なかったはずだ。


辞任した安倍元首相は再び首相に返り咲こうと画策していたが、そのためにはアベノミクスの失敗を隠蔽する必要があったはずだ。


そこで国防を強化して強い指導者という「設定」を印象づけて、国民の目をアベノミクスの失敗から逸して、追求を免れようとしたのではないか。だがそのために増税すれば国民の反発は必至だ。だが、国債発行であれば見た目には納税者の負担は増えない。


1982年、大統領を兼任していたアルゼンチンのレオポルド・ガルチェリ陸軍総司令官が内政に対する世論の沸騰から逃れるために、英領フォークランド諸島に攻め込んで軍事的成果で国内を鼓舞しようしたことを思い出すのは筆者だけだろうか。


そして自民党清和会(安倍派)や国防部会は急に、自衛隊の弾薬が足りない、装備の稼働率が低すぎると騒ぎだした。だが、それは歴代の自民党政権が放置してきた問題だ。実は稼働率の問題は福田内閣時に石破防衛大臣が初めて調査を命じた。それまで各幕僚監部では装備の稼働率を調査したことはなかった。つまり防衛省、自衛隊も自民党国防部会も装備の稼働率には関心がなかった。またメディアも関心を持ってこなかった。


その稼働率の低さは2011年の東日本大震災でも露呈した。陸自のオートバイ、トラック、無線機などの稼働率は惨憺たるものだった。だが震災への対応はうまくいったということになって、稼働率の低さの問題は隠蔽された。


それが今になって急に小野寺五典元防衛大臣はじめ、自民党の軍拡議員が大騒ぎし始めた。小野寺元大臣は都合3回、3年に渡って防衛大臣を勤めたが、その間に彼が装備の稼働率や弾薬の不足を問題にしたことは一度もなかった。


 そもそも防衛省の装備調達は国際的に見て怪異かつ異端だ。これが原因で市場の何倍も高い装備を平然と調達してきた。そのような問題を歴代防衛大臣や与党自民党は等閑視してきた。それを今になって鉦や太鼓で叩いて大騒ぎするのは自分たちが無策だったと告白するのに等しい。


そもそも昨年の衆議院選挙で自民党はNATO同様に防衛費GDP比2パーセントを公約にしたが、その基準を従来の我が国の算定方式にするのか、NATOの算定方式にするのか決まってもいなかった。従来の我が国独自算定ならば現時点で防衛費は約1パーセント、NATO基準ならば約1.2~1.3パーセントあり、大きな開きがある。政権与党の公約としては極めていい加減、無責任だ。これは防衛大臣経験者が証言している。


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