松田大使インタビュー「和平協議の見通し立たず」【2023年を占う!】ウクライナ
Japan In-depth / 2023年1月3日 11時0分
樫山幸夫(ジャーナリスト、元産経新聞論説委員長)
【まとめ】
・ウクライナの「不屈の拠点」は、発電機、暖房器具、食料、子供の遊戯施設、医療を提供、市民は高い士気を維持している。
・ロシアの侵略に対して国際社会が結束して対応することが極めて重要であり、ウクライナ側の一連のイニシアティブは歓迎すべき。
・日本の支援は当面の間、厳冬対策が中心となる。
ウクライナでの戦火やむことなく、時は2023年を迎えた。 松田邦紀ウクライナ大使によると、自軍が健闘していることもあって、市民たちは静かにクリスマスを祝い、新年を迎えた。12月29日には全土でミサイル攻撃を受け、 電力不足など不自由をかこちながらも市民は計画的、秩序だった生活を送っている。インフラ攻撃に対抗して設けられた後方支援のための「不屈の拠点」は、発電機、暖房器具、食料、子供の遊戯施設、医療を提供、これを中心として市民たちは高い士気を維持している。一方で和平協議の見通しは立た ず、ロシアの大規模反転攻撃がとりざたされるなど、楽観できない状況は依然続いている。松田大使が語った2022年クリスマスから新年の状況、2023年の展望は次の通り。
▲写真 松田邦紀ウクライナ大使 出典:Embassy of Japan in Pakistan
■ 静かなクリスマス、秩序立った市民生活
ーウクライナのクリスマス、年末・年始はどんな様子だったか
松田大使: 祈りと友愛にあふれている。クリスマスには戦時下にもかかわらず、首都キーウの聖ソフィア大聖堂前広場には、クリスマス・ツリーが飾られた。例年のようにはいかず、背丈は低く電飾も少なかったが、ロシアの侵略を打ち破り、平和が到来するよう祈る大勢の人々が集まっていた。捕虜になったウクライナ兵の解放を祈る家族の姿も少なくなかった。例年はロシア正教会と同じく1月に入ってからクリスマスを祝っていたが、ことしはそれを嫌って欧米と同様、12月25日に祝う市民が増えた。
▲写真 クリスマスに聖ソフィア大聖堂がライトアップされた(2022年12月25日、ウクライナ・キーウ)出典:Photo by Yurii Stefanyak/Global Images Ukraine via Getty Images
ー国民はエネルギー不足をどのようにしのいでいるのか
松田大使: キーウでは、市当局が携帯のアプリを通じて計画停電の時間割を連絡し、市民はそれに基づいて、炊事、洗濯等の日常生活のリズムを作っている。断水に備えて飲料水や生活用水を台所や風呂場に貯め、家庭用小型発電機も購入している。他の都市でも同様な秩序だった状況と聞いている
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