コロナワクチンの接種は続けるべきか、もう打ち止めにしていいのか
Japan In-depth / 2023年2月9日 23時0分
実はコロナもインフルエンザも高齢者が罹患すると重症化するリスクが高く、そのためワクチンで予防しておくことのメリットが大きい。だが、コロナに関しては国民全体に対して感染拡大防止対策(行動規制やワクチン接種の励行)を求める段階はとうに過ぎ去っていて、これからは国民一人一人が自分でコロナに罹患してしまった場合のリスクを考えて、「自分の身は自分で守る」というスタンスで感染防御対策の中身を自ら選択して実施していくことになる。
しかし、ワクチンを打ちたい人や検査や病院受診をしたい人が滞りなく医療の恩恵を受けられるようにすることは為政者や医療機関の果たすべき役割だし、逆に必要以上にすべての人にワクチン接種の励行や過度のコロナ対策の実施を求め続けるべきでもない。
また、国や都道府県はコロナワクチン接種を受けるべきかの判断材料はきちんと国民に提示して説明すべきだし、マスコミも一夜漬けで記事を作らず、あるいは専門家の意見を横流しして記事にするのではなくて、じっくり時間をかけて下調べをして正しい情報を国民に伝えるように研鑽を積むべきだ。
最後に、ワクチンの有効性に関する感染研の発表内容について概説しておく。
「新型コロナワクチンの有効性を検討した症例対照研究の暫定報告(第五報):オミクロン対応 2 価 ワクチンの有効性」
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001024250.pdf
研究対象となったのは4,473人、2022年9月20日から11月30日までの間に、関東地方の10の医療機関の発熱外来などを受診した患者さんで、このうちPCR検査でコロナの感染の有無を調べた方々が対象となっている。
さらに条件として
「37.5℃以上の発熱、全身倦怠感、寒気、関節痛、頭痛、鼻汁、咳嗽、咽頭痛、呼吸困難感、 嘔気・下痢・腹痛、嗅覚味覚障害のいずれか 1 症状のある者」に限定して解析が行われた。
この結果をみてまず驚くことは、解析に含まれた 4,040 名のうち陽性 が2,089 名でなんと陽性率が52%だったことだ。上の条件を読むと熱がなくても鼻水が出ていただけでも、あるいは風邪症状がなくて嘔気や下痢などのおなかの症状がある人も解析対象に含まれていたということだから、これはとんでもない陽性率だ(しかしそのことは結果の解釈のところでは何も触れられていない)。
本題の有効性についてだが、検査結果の最後に記載されている解析結果(表4)では、なんと発病予防効果はオミクロン対応 2 価ワクチンに限定すると有効率として69~73%にもなるというのだ(ただし、有効率をどう定義したかは細かな記載がない)。「コロナワクチンの効果は主に重症化を防ぐことにあって発病予防効果はわずかだ」と認識していた筆者にとってはこれまた驚きの数字であった。そこで実際の数字を細かく見て行くことにした。
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