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やはり要注意「公共交通機関」本命は「進行方向多様性」~人流データからの発見~

Japan In-depth / 2023年3月14日 12時25分

やはり要注意「公共交通機関」本命は「進行方向多様性」~人流データからの発見~




大澤幸生(東京大学大学院工学系研究科 システム創成学科教授)





【まとめ】





・満員電車は感染リスクがあるのか、ないのかという論争がある。





・全ての人が同じ方向に歩いてゆくばかりなら、感染拡大のリスクは小さい。





・公共交通機関での安全管理を見直すことが重要。





 





満員電車に乗ると、それだけで感染症をもらってしまう気がするという人は多い。その一方で、乗客はほとんどが静かにしているので感染リスクはないという人もいる。





神戸大学の坪倉誠氏のシミュレーションによると、各駅電車でのドアの開閉によって窓開け5センチ程度の換気が得られるという。





国立病院機構仙台医療センターの西村 秀一氏は「山手線などでは頻繁にドアが開き、つねに換気されているのと同じ。皆がマスクをしてじっと乗っているだけなら、まず危険はありません。」と述べている(President Online 2021.7.13)。





⼟⽊学会⼟⽊計画学研究委員会の新型コロナウイルスに関する行動・意識調査によると「一回電車やバスやタクシーに乗る」ことによる感染確率についても推計すると、最も感染が拡⼤していた時期で⾼々約 0.0097%しかない」(新型コロナウイルスに関する行動・意識調査 2020.6.5)が、「回答者の平均値は 30.1%と約 3100 倍も過大」としている。しかし、同調査での計算方法では、0.0097%といっても国全体での感染者の比率よりもはるかに大きいことになる。





■ 電車は安全なのか、それとも危険なのか?





この問題について今回は、Agoop社製のポイント型人流データから一応の解決を見ることができたことを紹介する。このデータは、スマホのセンサーを用いてデータ化した個人ごとの移動の速度や方向を時々刻々記録したものである。









▲図1





まず、図左 。ひとつひとつのプロットは、東京の市区町村を表す)から、人の移動の速い地域で感染者数が増えていることが分かる。しかし、よく見ると速すぎる。人の歩行速度は毎秒1~1.5メートル程度であるが、このデータで感染者数が多くなるのは、2020年12月の平均で毎秒2.0メートル以上という領域である。





これは人の歩く速度ではなく、1.5%の人が電車に乗り、残りが歩いている状態だとすればちょうど一致する。これは人の歩く速度ではなく、4%の人が電車に乗り、残りが歩いている状態だとすればちょうど一致するような地域での平均速度である。





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