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防衛大学、任官拒否者を卒業式から排除の安倍政権の悪習を是正

Japan In-depth / 2023年3月16日 19時0分

在校生は毎年このような歪んだ卒業式をしてきたわけで、このような嫌がらせをやる最高指揮官を頂き、それを当然と思う防衛省、自衛隊という組織で働くことを良しとせず、任官を拒否しても誰が責められようか。


 防大の学生は学費もいらず、給料もでる。故に任官しなかった卒業生は学費や給料(学生手当)を返せという声も少なくない。だが防大の学生という身分は、学ぶこと自体が「職業」である公務員である。それに任官後に拒否すればいいのだろうか。学費や給料の返還が嫌だから任官して数年して辞めるのはいいのだろうか、何年「年季奉公」をすれば許されるのか。むしろ中途で退職される方が自衛隊の負担は大きくなるだろう。


 それに軍隊や自衛隊では中に入っても各種術学校など多くの学校が存在する。任官拒否に授業料や給料を返せというのであれば、それらの学校の終了者に対しても同じことを要求しなければならない。


 実際に入学後に、家庭の事情で就職せざるを得なかったものもいるだろうし、自衛隊の実態が見えてくるにつれて、自分が思い描いていた組織とはかけ離れた組織であることを知り、任官を拒否するものもいるだろう。防大という閉鎖組織では陰湿ないじめも横行しており、また現状について疑問を挟めないような雰囲気もある。このような「同期」とともに働くことをよし、せず任官拒否を選んだ者もいるだろう。


 仮に任官拒否者に学費や給料を返還を義務付けるならば、多くの若者が入学を躊躇して防大の試験者や入学者は激減するのではないか。


上記のように安倍政権では、このような任官拒否者を差別することを当然だと閣議決定しているから言い逃れができない。それはその後の菅政権でも受け継がれた。閣議決定された認識をひっくり返すのであればひとり防大だけの決定では済まないはずだ。この決定は安倍政権下、あるいは安倍元首相が生きていて政治的影響力があったならば不能だっただろう。


この決定は岸田政権が過去の安倍、菅政権との決別を示すものだと言ってもいいだろう。防衛省の報道室の回答を素直に信じるのであれば、このような重大な政策転換に関する決定から防衛大臣が蚊帳の外に置かれていたということになる。


それは大きな問題ではないか。また防大の任官拒否者の卒業式からの排除の停止は、単に防衛大という学校の式典のプロトコルの問題ではなく、自衛隊の幹部の確保という人事の問題である。そのように防大側が認識していれば、もっと早く大臣官房に連絡していたはずである。


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