防衛大学、任官拒否者を卒業式から排除の安倍政権の悪習を是正
Japan In-depth / 2023年3月16日 19時0分
そうであれば筆者の質問や、朝日の記事がでる前に、大臣がアナウンスできたはずだ。そうすれば防衛省の改革としてアピールでき、また多少なりとも岸田内閣の印象をよくできたのではないだろうか。青木健至報道官がこの件についてあきらかにしたのは3月10日の記者会見であり、いかにも遅い。その後も後追い報道が続き、そのような効果は発揮されなかった。防衛省内部での情報共有と広報のあり方に大きな欠陥があるのではないだろうか。
果たして過去に閣議決定された案件を一学校が独自に変更できるものだろうか。実は大臣も大臣官房も知っていたのではないか。党内最大派閥である清和会(安倍派)を刺激しないために防衛省の発表ではなく、報道が出てからそれを追認するという形をとったのではないかと思われても仕方がないのではないか。
いずれにしても先の安倍政権時代からの負の遺産が一つ消えたことは歓迎すべきである。自衛隊では隊員の新規募集のみならず、中途退職も多く問題となっている。陸自では充足率が6割を切る部隊もゴロゴロ存在する。
無論少子高齢化が進み、若年層の減少と言う面もあるが、防衛省や自衛隊のパワハラ、セクハラ、いじめを是とし、隠蔽する体質にも大きな問題がある。それを防衛省や自衛隊は必ずしも把握していない。
今月、山下裕貴元陸将はTwitterで「中途退職とハラスメントは因果関係は無いと思います」と投稿して、多くの批判を浴び、該当ツィートを削除した。このような自衛隊首脳の認識が個人的あるいはSNSで拡散されて、その実態を知って嫌気がさすケースも多いと聞いている。そのような実態を自衛隊や防衛省の首脳は正しく把握していないのではないか。
防衛省、自衛隊は無謬である、現状の体制は常に正しい。故にそのような被害を言い立てる隊員は不穏分子や異端者である。そういう認識があるからいじめやハラスメントが改善しない。そして露見しそうになると隠蔽する。防衛省の防大学校(防大に非ず)の教授会では、会議でパワハラを訴える発言を議事録から削除、捏造することまで行っている。
隊員がこれらの理由でやめたいというと、嫌がらせと、そのような言質を与えないために、調査をするという理由で何ヶ月も退職を認めない。だから一刻でも早くやめたい隊員は「一身上の理由」あるいは「家庭の事情」を理由に退職する。これであれば部隊長は責任を回避できるからだ。当然防衛省や自衛隊の上層部は実態を把握できない。これは財務省からも指摘されている。
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