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陸自新型装甲ドーザーの調達は国産ありきでは

Japan In-depth / 2023年4月1日 23時56分

実は筆者は上記のような概要を当初防衛装備庁に尋ねた。だが装備庁では「手の内を明かさないため」として拒否した。ダメ元で同じ要求を陸幕にしてみたら、あっさりと教えてくれた。防衛省の同じ組織内部で情報の管理が統一されていないのは大変問題だ。





しかもこのような概要情報は中国を含めて多くの国が公開している情報だ。民主国家であればいわずもがな、である。このような情報をひた隠しにしているのは筆者の知る限り、我が国と北朝鮮ぐらいである。因みに後述する他の候補であったAACEのブローシャーは以下のように概要を公開している。





AACE ARMOURED AMPHIBIOUS COMBAT EARTHMOVER





民主国家であれば当然機密以外の情報を納税者に開示するのは当然である。そうしないと納税者に対する説明責任を果たせないからだ。納税者は防衛予算の使い方を監視できなくなる。ところが防衛省、自衛隊は何でもやたらに隠蔽したがる。それは組織防衛のためだろう。





このように「民主国家の軍隊」として公開して当然の情報を公開しない、秘密扱けいしていると本当に重要で機密情報かわからなくなる。そのような情報管理ができない軍隊は弱い。このような胡乱な情報管理体制を人民解放軍は鼻で笑っているだろう。そうであれば、それは抑止の上でも大変問題だ。





防衛省では新型装甲ドーザーを合計30両の調達を予定しており、開発予算は約10億円で、調達単価を5.6億円、2020年度に試験用車輌が1両、6.347億円が含まれている。





ライフ・サイクル・コストを約320億円と見積もっている。現段階では初度費は公開されていない。だが先述のように来年度調達単価は7.3億円だ。これを平均5.6億円まで下げるには残りの25輌の単価を5.26億円に以下にする必要があるが、果たして3割もコストダウンができるだろうか。過去の防衛装備の調達実績を見ると大変疑わしい。





新型装甲ドーザーに関して、当初防衛省では、日立案とトルコのFNSSが提案するAACE(Amphibious Armoured Combat Earthmover)が候補として上がっていた。





AACEはユナイテッド・ディフェンス社(現BAEシステムズ)が開発したM9として、トルコのFNSS社が開発・生産しているものだ。





複数の業界関係者によれば、当初調達単価は日立案が1億円、対してAACEは2.6億円程度であったという。トルコというと途上国というイメージが未だ強いが、防衛装備、特に陸戦兵器などでは先進国に匹敵する能力を持った装備を開発している。装甲車輌では既に我が国を超えているだろう。これは四半世紀以上何度となく現地も取材してきた筆者の実感である。





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