1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

陸自新型装甲ドーザーの調達は国産ありきでは

Japan In-depth / 2023年4月1日 23時56分

また新型ドーザーは遠隔操作機能やCBRN(Chemical・Biological・Radiological・Nuclear:化学・生物・放射性物質・核)システムを有していない。





戦闘工兵機材である装甲ドーザーは敵の弾が飛び交う最前線で使う機材であり、被弾の可能性が高い。またCBRN環境でも遠隔操作による無人操縦が必要不可欠なはずだ。





装甲車輌の対CBRNシステムはキャビンを密封して加圧することによって、外気の侵入を防ぎ、換気孔のフィルターで濾過した外気の取り入れるものだ。これが装備されていなければCBRN環境で戦う場合乗員は全身を覆うNBCスーツを着用する必要がある。だが、その場合は作業できる時間が極めて限られている。汚染外地域から自走して作業現場で作業をして、更に撤退するとなれば殆ど作業をする時間はない。事実上CBRN環境では戦えない。





現段階では明らかになっていないが新型ドーザーが75式同様にクーラーを装備していなければ、夏場での作業は不可能だ。因みにAACEはクーラーが標準装備となっている。何故このような当然戦闘工兵車輌に必要不可欠な要素が新型装甲ドーザーの要求仕様にこのような項目が入っていないか筆者は理解に苦しむ。





実は防衛装備庁では2011年度から2015年度にかけて「CBRN 対応遠隔操縦作業車両システムの研究」をおこなっており、装甲ドーザーやパワーシャベルなど施設科機材の実証実験も行っている。その外部評価では「研究は順調に進捗しており、十分良好な成果が挙げられている」とされている。





外部評価報告書 「CBRN対応遠隔操縦作業車両システム」





その「良好な成果」が何故新型ドーザーに反映されなかったのだろうか。





戦時になれば戦闘工兵用の機材である装甲ドーザーは損耗率が高い。ところが陸自装備調達の宿痾で、30輌という調達数は部隊配備数だけで、予備の車輌はない。これは軍隊としては異常としか言いようがない。このため平時でも故障が起これば、予備の車輌を使うことができずに、部隊での稼働率は下がることになる。





当然ながら戦時ともなれば戦闘で消耗すれば予備がない。メーカーで増産するにしても早くても何ヶ月もかかるだろう。本来であれば予備車輌を含めて調達すべきだ。遠隔操作機能がない新型装甲ドーザーでは乗員の消耗が激しく、車輌を補充しても乗る乗員がいなくなるだろう。





更に申せば輸入品のAACEであれば、トルコやフィリピンなど他のユーザーから融通してもらうことも可能だ。またAACEのベースとなった米軍のM9は水上航行用のウォータージェットがなく、水上航行速度が遅い以外はほぼ同じなので米軍から融通してもらったM9を使用することも難しくないだろう。





この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください