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陸自新型装甲ドーザーの調達は国産ありきでは

Japan In-depth / 2023年4月1日 23時56分

日立案のほうが安価であり、また試験用車輌調達予算が十分に無かったために、日立案だけが書類審査だけで試験調達されることになった。だが試験用車輌の調達費用は、ご案内のように6.347億円に高騰している。これだけ高騰したのであれば、普通は試作調達を再考するだろう。当初の予算であれば、両候補とも試験用車輌が調達できたはずだ。





筆者は当初の両候補からの提示金額の提示を求めたが、提出企業に配慮するためとして回答を拒んだ。本来こういう情報を公開するのが民主国家であるはずだ。少なくとも採用したものに関しては明らかにすべきだ。そうでないと調達の正当性を主張できまい。





米国では国防授権法(ナン=マッカーディ条項)で、装備品単価の一定の上昇が生じた場合、事業継続について議会の承認を要するなど調達費の歯止めをかけている。防衛省でもこれを真似て「装備品等のプロジェクト管理に関する訓令」「取得戦略計画の見直し等について」で同様な制度を作った。これによれば現行基準見積比25パーセント、当初基準見積比で50パーセントの高騰の場合、調達を見直すことになっているが、米国の制度と異なり、抜け道があって有名無実化している。





(財務省資料)





実は性能面でもAACEの方にアドバンテージがあった。AACEはエプロンの裏側に「ボウル」と呼ばれるスペースがあり、車体に排土を搭載して自重を重くできる。これによって車体は軽量でも排土機能を高める機能がある。この場合自重は8トン重くなり、重量は24.1トンに増加する。このため重量26トンの新型ドーザーに匹敵する排土機能を有していると考えられる。





AACE ARMOURED AMPHIBIOUS COMBAT EARTHMOVER





26トンの新型ドーザーを空輸する場合、C-2輸送機でしか輸送できないが、AACEはより小さいC-130H輸送機でも空輸が可能である。また船舶で輸送する場合、特に島嶼防衛においての輸送では軽量である方が有利であることは言うまでもない。





装軌車輌は長距離路上を移動する場合、トランスポーターと呼ばれる大型トレーラーに搭載しないとならないが、そのような大型トレーラーは陸自では極めて少ない。その点からみても26トンもある新型ドーザーを実戦で運用することは極めて困難である。





AACEは水陸両用機能がある。ウォータージェットを装備しており、水上を時速8.6キロで航行できる。つまりAACEは海岸など水際での工事でも使用できる。対して新型ドーザーにはその能力はないようだ。これは陸自が重視している島嶼防衛では極めて有用な能力だ。それを何故か陸幕は要求仕様で求めなかった。





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