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陸自新型装甲ドーザーの調達は国産ありきでは

Japan In-depth / 2023年4月1日 23時56分

そもそも僅か30輌の車体をわざわざ開発すること自体がナンセンスだ。調達数が少なければ一輌当たりの開発費は嵩むし、十分な開発費の捻出も難しい。そして試験車輌を除いた開発費は僅か3.7億円弱に過ぎない。これは装甲車輌の開発費としては極端に少ない。果たしてこの金額で設計、各種の要素開発、車内試験用の試験車輌などの手当がついたのだろうか。常識的には開発が不可能な金額だ。





量産効果もでないので、調達単価は高くなる。遠隔操作機能やCBRN機能を搭載しなかったのはこれらの機能をつけると開発費や調達単価が更に高騰するからだったからではないのか。





恐らく装備庁、陸幕は始めから国産開発ありきだったのだろう。だが競争入札の建前があるからAACEを当て馬に利用したのではないか。そうでなければ試験車両のコストが6.347億円となった段階で調達を見直したはずだ。





まともな「軍隊」であれば両方の候補を調達したはずだった。だがそれを行うと都合の悪いことがあったと思われても仕方があるまい。これは始めから調達する本命が決まっていた「官製談合」が疑われて然るべき案件である。





以前も空自の救難ヘリ調達では同様のことがあった。23.75億円という「最安値」でエアバスやアグスタ(現レオナルド)の提案を抑えて三菱重工製のUH-60Jの改良型が採用された。だが、実際の調達単価は50億円を超え、2倍以上となっている。元のUH-60Jは45億円程度していたので、更に改良を施したものが23.75億円にならないのは子供でもわかる道理だ。これまた「官製談合」が疑われる案件であった。この件では空幕長が在京英国大使から抗議を受ける異例の事態となった。防衛省は何度となくこのような入札を巡って外国のメーカーや政府から抗議を受けている。





どうせまた当て馬に使われるとなれば入札を拒否される。事実、空自の次期空中給油機調達ではエアバスは入札を辞退した。





装備調達がグローバル化する中で不透明でアンフェアな調達を繰り返せば外国メーカーからの信頼を失うことになる。今や世界の軍事予算の半分を使う米軍ですら多くの外国製装備を使用している。装備調達の多様化は必要不可欠だ。だがこのような「悪さ」をしていれば外国から相手にされなくなって、必要な情報や装備が調達できなくなる可能性が高い。





それは日本国の信用をも毀損することになるが、防衛省、自衛隊には自覚がないようだ。





今回の装甲ドーザーの調達でも日立案とAACEの両方を試験調達して調査を行い、その結果を公表すれば、そのような疑いも持たれなかっただろう。そもそも不効率な少数調達の装備の開発は止めるべきだ。また途中で極端に金額が高騰すれば開発や調達を中止すべきだ。





公開データを見る限り、調達コスト、性能的、運用、有事の際の補充などの面からAACEの方が優れているとしか思えない。





国産調達のために高いコストで低性能な装備を調達して、隊員や国民の命を危険に晒すような事があってはならない。またこのような不透明な調達を繰り返す防衛省の予算を2倍に増やしても浪費されるだけではないか。





AACE 動画は以下のHPより





AACE ARMOURED AMPHIBIOUS COMBAT EARTHMOVER





トップ写真:日立製新型装甲ドーザー 提供:防衛省 新たな重要装備品等の選定結果について 令和5年1月




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