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児童手当の問題は所得制限だけではない

Japan In-depth / 2023年4月3日 11時0分

児童手当の問題は所得制限だけではない




田中紀子(ギャンブル依存症問題を考える会代表)





 【まとめ】





・児童手当の支給は「収入の高い方」、すなわち父親に自動的に振り込まれているケースがほとんど。





・「児童手当の振込先は家族で選択できる」と法改正すれば、夫婦の内、子どものために使える方に振り込まれることになる。





・当会では今後「児童手当法4条3項」の改正を求めて働きかけを行っていく。





 





政府は3/31に少子化対策の「たたき台」を公表したが、その1つとして児童手当の所得制限の撤廃が盛り込まれていた。そして4/1にはこども家庭庁が発足した。





もちろん私たちのようなギャンブル依存症者を抱える家庭でも、児童手当の所得制限は有難い措置である。「ギャンブル依存症」と聞くと、世間の人は働きもせず、落ちぶれ、家族もいない、一発逆転を狙う怠け者というイメージを抱きがちだが、実際には、バリバリに仕事をしているサラリーマンや自営業者が殆どである。そもそもギャンブルは金がなければ賭けることすらできない。むしろ収入が高いがゆえに、高額の借金ができてしまうケースも多い。世帯年収は1千万円以上あっても家族は貧困状態に陥り、子ども達は塾や習い事にも行かれず、大学は奨学金で行くしかないという状況になっている。そして収入の高いギャンブル依存症者の家庭は、児童手当や、高校無償化のような恩恵に一切預かれなかった。今回の改正は明るいニュースではあるものの、児童手当には支給方法に関する大きな闇がある。





本稿では、現在焦点の当たっている児童手当について、ギャンブル依存症問題の起きている家庭が突きつけられている現実、行政の無理解による困難を書きたい。





1)児童手当の支給は「収入の高い方に振り込まれる」





児童手当は児童手当法第四条三項によって「(中略)当該父若しくは母、未成年後見人又は父母指定者のうちいずれか当該児童の生計を維持する程度の高い者によつて監護され、かつ、これと生計を同じくするものとみなす。」とある。





これによって殆どの場合で、児童手当は父親に自動的に振り込まれているのが現状である。この国の運用が私たちのような「夫が金銭的に問題を抱えていて、家計を顧みない」という家庭では大問題となっている。夫は、支給された児童手当をギャンブルに使い込んでしまうが、この振込先を妻の口座に変更して貰うことが困難を極めているのだ。





平成26年10月30日第187回国会参議院厚生労働委員会で、当時みんなの党にいらした元参議院議員薬師寺みちよ先生がこの件について「ギャンブル依存症の場合には、児童手当の支払方法など特例を設けるべきではないか」とご質問下さっており、政府参考人は「御指摘の場合のように、父親が家計や児童の養育について顧みることがなく、母親が家計の主宰者として児童の養育 を行っていると認められる実態がある場合には、母親を児童の生計を維持する程度の高い者と判断するよう市町村には考え方を示しているところでございます。」と見解を述べているが、これを自治体によって様々に受け取られ、対応方法の指針がないために、混乱を極めている。





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