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フランス暴動の背景に「郊外」問題

Japan In-depth / 2023年7月6日 18時0分

2005年の暴動は、警察に追われた結果、二人の若者が感電死したことから始まった。こちらも警察に不審尋問を受けた際、6人が連行されたが、そのうち3人の若者が逃走したのが始まりだ。逃走した若者は変電所に逃げ込み、二人が感電して死亡した。一人は重傷を負ったのだ。


当初、この若者たちは変電所の近くでサッカーをしていただけだという情報もあり、郊外の若者のみと特別視するがために頻繁に行われる尋問と、いきすぎた追跡をする警官に大きな批判がおき、全国に暴動が広がっていった。


その時も、外国メディアからは内戦とまで (かなり大げさに)表現されるほど、街が破壊された。だが、今回の破壊行動や暴力活動はその比ではない。今回は全国に拡大するのも速く、若者に限らず、黄色いベスト運動で暴れていたり、他のデモ時にも現れる便乗者やわけのわからない関係ない若者たちが交じって破壊活動をし、凶悪の度合い、暴力の度合いが増している。


今回は特にあっという間にネットで拡散されたことが大きな特徴だ。2005年は、暴動がクリシー・スー・ボワからセーヌ・サン・ドニ全域に広がるまでに3日、フランス全土に到達するまでに1週間かかった。これに対し、今回の暴動は2、3日で全国に広がったのだ。そして、普通の若者も多く参加する暴動になっている。


Facebookがまだハーバード大学の学生専用のネットワークだった約20年前とは違い、現在はスナップチャットを中心とするSNSの利用者が増えたのがその原因だ。50万人のフォロワーがいるインフルエンサーがナエルさんの死を「名誉」と掲げたり、略奪自慢などを紹介する輩もあらわれ、あっという間に関係ない若者も参加しはじめたのである。


最終的には、現在、各地で起こっている暴動は、ナエルさんの死とは無関係で、ただ街を破壊し略奪することが目的になっているのがほとんどだ。なんと逮捕者は12歳〜18歳が多く、しかもほぼ全員初犯。そこで、政府は夜間外出禁止令を出した。また、子供が夜遊びするのを放置した親に懲役 2年と罰金3万ユーロを課す方針を発表し、夜間子供たちを外出させないように親の協力を呼びかけるにいたっている。


しかしながら、今回はそういった状況分析をスピーディーに行い、対策を練り実行したせいか、一時期は爆発的に暴動が広がったものの、1週目にはかなり落ち着きを取り戻してきた。


外出禁止令などの対策を打ち出した市長宅に車が突っ込んだり、花火を投げ込んだり、車を燃やされたりする事件も発生したが、7月2日日曜日の夜は、国内では4万5000人の憲兵と警察が大々的に対応した後は、暴動は収束に向かっている模様だ。


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