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地域住民の命を守った鹿島厚生病院渡邉善二郎院長

Japan In-depth / 2023年7月30日 18時0分

入院診療再開に向け、鹿島厚生病院関係者は様々な部署に陳情した。当初、「厚労省が規制している」と考えていたため、地元選出の国会議員などを通じ、厚労省に陳情した。しかしながら、厚労省は「福島県の方針です」と言うだけで、具体的に動くことはなかった。確かに、鹿島厚生病院を「みなし30キロ」に認定したのは福島県であり、厚労省の管轄ではない。厚労省の言い分も一理ある。





次に病院関係者は、福島県に様々なルートを介して陳情した。しかしながら、福島県は入院再開を頑なに認めなかった。その理由はわからない。





南相馬市立総合病院のように、原発30キロ圏内の病院を再開するのは、政府との調整など手間を要するだろう。





一方、鹿島厚生病院は、福島県が30キロ圏相当と見なしただけだ。福島県の判断で方針を変えられる筈である。このあたりの情報については、当時、厚労省の政務官を務めていた梅村さとし参議院議員が情報を入手してくれた。福島県が気にしたのは、何らかの面子か、他の政策との整合性だったのではなかろうかということだ。





もし、そうだとすると、福島県にいくら頼んでも無意味だ。私は渡邊院長に、「問題を出来るだけ多くの人に知って貰うようにしましょう。社会に知って貰うには、メディアに言うのが一番だ」と繰り返しお伝えした。役所が動かないときは、外圧が一番だ。メディアを通じて、社会が問題を認識すれば、政府は驚くほどのスピードで対応する。





私も旧知の記者たちに、鹿島厚生病院の窮状をメールで伝えつづけた。ただ、この時に苦労したのは、南相馬市を取材している記者があまりにも少なかったことだ。多くのマスコミは、新聞記者の被曝を問題視して、原発周囲への取材を禁じていた。取材に入るときは、上司の許可、および取材後の健康診断を義務づけたという。知人の記者は「組合問題など関係するのでしょうね。要は上が責任をとりたくないだけですよ」と語った。





ただ、メディアの中にも気骨のある人はいた。現地で活動する我々にコンタクトしてきた人がいた。それは読売新聞の加納昭彦記者だ。常磐線原ノ町駅前の、一軒だけ営業を続けている定食屋で会うこととなった。南相馬市の医療機関の窮状を理解して貰いたく、懸命に説明した。加納記者は、初めて知る情報が多かったようだった。





福島支局の記者の多くは、普段からネタを貰っている福島県庁に気兼ねする人が多い。彼は東京本社の医療情報部に所属する記者だ。何の気兼ねもなく、問題点をストレートに書いた。





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