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なぜ大阪・近畿の私立高校は、吉村府政の「高校授業料完全無償化」に反対なのか

Japan In-depth / 2023年8月7日 7時0分

中学は依然として回復されないままで、本校中学が大阪府から支給される補助金は国の補助金単価に比べ年間約3,000万円少なく、過去15年間の累積減額は5億円に達すると推計されます。


 


(3) 現在の大阪府の「授業料無償化」


現在、大阪府から支給されている「就学支援金」は、保護者の収入や子どもの人数によって違いがあります。さらに補助金の上限を大阪府が定める「標準授業料」60万円に設定する「キャップ制」というものがあり、複雑な仕組みになっています。


この「標準授業料」60万円を越える授業料の学校は、本校を含めて 42校あります。これは大阪私学の約半数にあたります。本校の高校授業料は年間 65 万円ですので、「標準授業料」を5万円越えることになります。では、その「授業料65万円」の負担の内訳を、以下の(A)~(D)の場合について見ていきます。


(A) 年収 590 万円未満の世帯


保護者負担0円 +公費負担 60 万円+本校負担 5 万円=授業料 65 万円


(B) 年収 590 万円以上 800 万円未満の世帯


・子ども1人


保護者負担 20 万円+公費負担 40 万円+本校負担 5 万円=授業料 65 万円


・子ども2人


保護者負担 10 万円+公費負担 50 万円+本校負担 5 万円=授業料 65 万円


・子ども3人以上


保護者負担0円 +公費負担 60 万円+本校負担 5 万円=授業料 65 万円


(C)年収 800 万円以上 910 万円未満の世帯


・子ども1人


保護者負担 53 万円+公費負担 12 万円+本校負担 0 円 =授業料 65 万円


・子ども2人


保護者負担 35 万円+公費負担 30 万円+本校負担 0 円 =授業料 65 万円


・子ども3人以上


保護者負担 15 万円+公費負担 50 万円+本校負担 0 円 =授業料 65 万円


(D)年収 910 万円以上の世帯


保護者負担 65 万円+公費負担 0 円+本校負担 0 円 =授業料 65 万円


世間一般には大阪はすべて授業料が無償化されていると思われているようですが、実際は完全に保護者負担がゼロになるのは(A)と、(B)の子ども3人以上の場合に過ぎません。


また、この制度が適用されるのは大阪府在住の生徒・保護者の場合ですから、大阪府以外の生徒については適用外です。


さらに「キャップ制」では、(A)、(B)に示したように、標準授業料を越える 5 万円を学校が負担しなければ大阪府から補助金を受け取ることができません。本校では「学校奨学金」として該当する生徒・保護者(高校生徒全体の約 30 %)に 5 万円を支給する形をとっています。昨年度の支給総額は約 1,100 万円で、この制度が始まった 2011 年度からの累計額は約 2 億 1,000 万円に達しています。


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