メジャーリーグで再生を果たした藤浪晋太郎から日本社会が学ぶべきこと
Japan In-depth / 2023年8月9日 17時0分
小寺昇二(株式会社ターンアラウンド研究所 共同代表 主席研究員)
小寺昇二の「人財育成+経営改革」
【まとめ】
・藤浪晋太郎がMLBで活躍。潜在能力を見抜き、能力を発揮させる米野球界に学ぶべき。
・企業も人財育成に責任を持ち積極的に行うことが求められる。
・適材適所が見つけられる「流動性」が高い企業社会となることが人口減少社会では必要になってくる。
異次元、火星人・・・日米の野球界を震撼させるほどの活躍を見せている大谷翔平ほどではありませんが、大谷翔平の高校時代のライバルでもある藤浪晋太郎のメジャーでの動向が大きな話題になっています。
野球ファンが驚いている理由を列挙してみれば以下、一つではありません。
1. 入団したアスレチックスの先発陣の一角として期待されたものの、防御率が二けたを超えるほどズタボロに打たれ死球を連発したものの、下位リーグに降格されることもなく、セットアッパーとして配置転換されると、徐々に調子を上げていったこと
2.そして、調子を上げていくやアッと言う間の7月下旬に、ヤンキースを始めとする強豪ひしめくアメリカンリーグ東部地区において首位をひた走るオリオールズに、ワールドシリーズ制覇の野望を達成する1ピースとしてトレードされたこと
3.そもそも、「今シーズンの阪神がセ・リーグの首位を争っていられる大きな要因は藤浪がいなくなったこと」と口さがない阪神ファンから揶揄され、近3年で7勝しかできずに苦しんでいた彼に対して、先シーズン後メジャーの複数球団が獲得競争を展開し、「325万ドル、出来高も入れると最大425万ドル」にて、アスレチックスが阪神での10倍もの年俸で獲得したこと
なぜこんなに、日本とアメリカは違っているのか・・・・上記の点に対して漠然と驚いているのではなく、日本のスポーツ界、ひいては日本社会が学ぶべき示唆について考えてみたいと思います。
年俸の違いについては、「スポーツビジネス」の規模における彼我の差、ということになるわけですが、それだけで片付けるのではなく、才能ある人間(アスリート)の能力をいかに発掘し、そしていかにして開花させるのか、そうした観点でアメリカの優れた点に学ぶべきだということです。
A 潜在能力についての考え方
大谷の能力について、メジャーの選手、指導者たちが語る言葉で象徴的なのは、卓越した成績と同様に、「彼は、490フィート(約150メートル)のホームランをかっ飛ばし、同時に100マイル(約161㎞)の球を投げられる、スプリットの落差は・・・、スイーパーの曲がりは・・・」と言う数字での能力です。
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