「世界から白内障による失明を無くす」アショカフェロー デビッド・グリーン氏
Japan In-depth / 2023年8月15日 23時0分
オーロ・ラボでは、価格設定によって競争環境全体を変えました。インドでは年間80万件だった白内障手術が700万件以上になりました。私がオーロラボを立ち上げたとき、縫合糸契約で世界最大、あるいは世界第2位のヘルスケア企業である大企業を打ち負かした。彼らは私たちが入札要件を満たしていないとして私たちを訴えた。彼らは敗訴しましたが上訴して(今度は)勝訴しました。その後、私たちはインドの最高裁判所に提訴し、そのレベルで彼らを打ち負かしました。
しかしその間に、彼らは次の契約で私たちを打ち負かすために、1箱240ドルから23ドルへと価格を下げた。
安倍:社会起業家はそのような行動に出る大企業に対抗していかねばならないのですね。
グリーン氏:(わたしたちが)競争において価格を武器にして、消費者に有利なように競争環境を変えるにはどうすればいいかということです。世界のほとんどの人々は貧しいのです。つまり、低所得者に有利になるように競争を利用するにはどうしたらいいのか。でも、みんな競争していません。ほとんどの医療機器では2〜4社が業界全体の80%を独占しています。彼らは自分たちの収益モデルを崩したくないから、暗黙のうちに価格操作をしているんです。どうすればそこに参入して状況を変えることができるかを考えねばなりません。
発展途上国では、ニーズが大きいから多くの人々に高価格で販売することができます。でも、それは市場のごく一部に過ぎない。だから、手ごろな価格の製品を手に入れようという意欲が高まっているのです。ある意味、発展途上国には、手頃な価格の製品を作るためのエコシステムがあるのだと思います。
(インタビューは2023年7月18日東京都内にて行った)
写真)(上段左)ロルフ・スピングラー(中央)のおかげで縫合糸の製造が開始され、その知識を共有して縫合糸製造技術のすべてを開発したオリジナル・チームとデビッド。
(上段右)アラビンド眼科病院を率いるラヴィンドラン医師、ライオンズ・アラビンド地域眼科研究所(LAICO)を運営するトゥラシラジ氏。
(下段左)デビッド・グリーンとロート製薬会長兼CEOの山田氏。アリーナ・ビジョンの活動を通じて、ベトナムの社会的企業眼科病院の開発を支援した。
(下段中央)アラビンド眼科病院のナッチャール医師と。 2人のパートナーシップにより、オーラボが誕生した。ナッチャール医師は白内障外科医として世界最高の成績を収めている。
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