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8月15日に戦争は終わらなかった 日本と世界の夏休み その5

Japan In-depth / 2023年8月20日 19時26分

8月15日に戦争は終わらなかった 日本と世界の夏休み その5


林信吾(作家・ジャーナリスト)


林信吾の「西方見聞録」





【まとめ】


・本当の戦争終結は、9月2日米戦艦「ミズーリ」において日本政府が降伏文書に署名した時。


・戦時国際法を無視したソ連軍による暴虐の犠牲者は5万7000人。


・心を砕くべきは8月15日以降も筆舌に尽くしがたい苦痛を味わった同胞たちに対してでは。


 


 8月15日、日本列島は広範囲にわたって台風の影響による荒天となり、日本武道館での「全国戦没者追悼式典」も、規模を縮小して執り行われた。


 また、高市早苗・経済安全保障担当大臣らが靖国神社を参拝した。閣僚の参拝はこれで4年連続となったが、岸田首相は参拝を見送っている。


 靖国参拝については、閣僚と言えど玉串料(お賽銭のようなもの)を私費で納めている以上、個人の信仰心に関わる事柄なので、それ自体を問題視する考えは私にはない。むしろ、安倍元首相が凶弾に斃れてから1年以上が経つのに、岸田政権(と言うより与党自民党)が、未だに統一教会との関係を清算できていない事実が、次々と暴露されている。こちらの方がよほど問題ではないか。


 そうではあるのだけれど、高市大臣の場合、自分が総理になったら公式参拝すると公言しているので、この点だけは今後とも注視して行く必要はあるだろう。


 こういうことを述べると、


「英霊に感謝を捧げることの、どこが悪い」


 といった反発を受けがちなのだが、そもそも靖国神社は慰霊の施設ではなく英霊を顕彰すべく創建されたものだという事実、さらには、1945(昭和20)年8月15日をもって、当時の日本人が戦争の惨禍から解放されたわけではないという事実を、参拝奨派の人たちはどう考えるのだろうか。


 前段については本連載でも幾度か触れたことなので、今次は繰り返さないが、後段については、日本ではあまり知られていない(もしくは忘れられつつある)事実でもあるので、考えるにはよい機会かも知れない。


 どういうことかと言うと、78年前の8月15日正午に、昭和天皇による「終戦の詔勅」がラジオ放送=世に言う玉音放送を通じて国民に伝えられた。言い換えれば「国民が敗戦の事実を知らされた日」に過ぎず、本当の戦争終結とは、9月2日、東京湾にやってきた米戦艦「ミズーリ」の艦上において、日本政府の全権代表団が降伏文書に署名した時なのだ。 


 実際問題として、欧米の多くの歴史教科書は、第二次世界大戦が終結した日時を「1945年9月2日」と記している。


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