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ヨーロッパ3大夏祭りの話 日本と世界の夏休み その6

Japan In-depth / 2023年8月26日 11時0分

有料の観客席や露店などの収益は、当初は傷痍軍人に対する義援金、昨今では慈善事業への寄付に充てられており、つまりは、キリスト教文化圏の人たちが好むチャリティー・イベントの側面も備えている。









▲写真 「ロイヤル・エディンバラ・ミリタリー・タトゥー」の様子(2023年8月3日 スコットランド・エディンバラ)出典:Photo by Jeff J Mitchell/Getty Images





最後にスペインの牛追い祭だが、こちらは前述のふたつよりずっと古く、12世紀頃から催されているらしい。





スペイン・バスク地方の街パンプローナで毎年7月上旬に催される。





呼び物がエンシエロで、これが日本では「牛追い」と訳されたことから、牛追い祭の呼称が定着しているが、本当は雄牛の群れの前を人間が走るのである。そもそも呼称自体、正しくはFiesta de San Ferminサン・フェルミン祭だ。





聖(サン)フェルミンは、イベリア半島がローマの版図であった3世紀の人で、パンプローナから選出された元老院議員の息子だったが、キリスト教の洗礼を受け、後のこの街で最初の司教となった。303年に、現在のフランスに伝導に向かった際、異教徒に捕らえられて斬首された。これによりカトリックの殉教者・パンプローナの守護聖人に列せられている。





遺体は、詳しい経緯は不明ながら12世紀になってようやく故郷に戻され、これを記念して祭礼が執り行われたのが、現在の牛追い祭の起源というわけだ。祭の参加者が首に赤いスカーフを巻くのは、斬首された司教に対する弔意の表現とされる。









▲写真 スペインの牛追い祭り(スペイン・パンプローナ)出典:Photo by Gari Garaialde/Getty Images





ヨーロッパ3大夏祭りのひとつと称されることはすでに見たが、スペイン国内では3月中旬に開かれる」バレンシアの火祭り、4月下旬に開かれるセビリアの春祭りと並んで、3大祭りと呼ばれている。





パンプローナを含む、バスク地方の風土と美食をこよなく愛したのが、米国の文豪アーネスト・ヘミングウェイで、1926年に刊行された『日はまた昇る』という小説にも、この祭のことが描かれている。と言うより、この小説のおかげで、バスクの小さな街の祭が、世界中の人々の知るところとなって、毎年70~80万人もの観光客が集まる(もちろん新型コロナ禍以前の話)までになった。街のあちこちに、ヘミングウェイの石像や祈念碑がある。





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