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【ファクトチェック】サンデーモーニング松原氏「処理水はまったく違う水」⇒根拠不明

Japan In-depth / 2023年9月9日 22時28分

また、「災害発生時の漏えいリスク」や「大量のタンクの存在自体が風評の原因となること」を心配するご意見もあることから、ALPS処理水を処分し、数多くのタンクを減らすことは、廃炉と復興に向けて必要な作業となっている、としている。





海洋放出以外に「モルタル固化案」や「大型タンク貯留案」などが民間シンクタンクなどから経産省に提出されたが、採用されなかった経緯がある。





ただ、トリチウムの海洋放出は日本だけが行っている特別な方法ではなく、国内外の原発・再処理施設においても発生していることを知っておく必要はあるだろう。各国は自国の法令を遵守した上で、液体廃棄物として海洋や河川等へ、また、換気等にともない大気中へ排出している。









▲図 ALPS処理水と世界の原子力施設におけるトリチウム(液体)の年間処分量 出典:環境省(資料は経済産業省作成)





■ 海洋放出のプロセス





ALPS処理水の海洋放出を行う際には、トリチウム以外の放射性物質の濃度が国の基準を満たすまで再浄化処理(二次処理)を行い、トリチウムの規制基準を十分に満たすよう海水で希釈する。その工程は以下の図の通りだ。









▲図 海洋放出の工程について 出典:処理水ポータルサイト





ALPS処理水に関して、東京電力の分析だけでは不十分だとする見方もあろう。





国内唯一の原子力に関する総合的研究開発機関として、エネルギー利用に関する研究開発をはじめ、原子力の基礎・応用研究、福島原発事故に伴う環境回復など様々な分野で研究開発を行っている、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構(原子力機構)が実施したALPS処理水の第三者分析を見てみる。





それによると、海水希釈前(2023年3月23日)のALPS処理水中のトリチウム濃度は、14万Bq/Lで、放水縦杭(上流水槽)から採取した海水希釈後(2023年8月22日)のALPS処理水のトリチウム濃度は48Bq/Lだった。





また、海水希釈前のALPS処理水のトリチウム以外の核種(対象29核種)は、規制基準(告示濃度比総和が1)未満であることが確認されている。(注1)









▲図 ALPS処理水の第三者分析 出典:国立研究開発法人日本原子力研究開発機構





■ 結論





Japan In-depthは、政府、東京電力、第三者機関の公表しているデータや情報に基づき、検証した。





松原氏が言ったように福島第一から海洋放出されている処理水がトリチウム以外の核種を含有しているとは考えにくい。氏は、「普通の原発が出してる、海に流しているものと処理水はまったく違う水」だと番組中に述べたが、もしそう主張するなら、番組の中でデータを示すべきだった。





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