TVで「ウクライナ侵略反対」呼びかけた女性編集者、毒物盛られる?
Japan In-depth / 2023年10月20日 12時41分
トムスクの空港で飲んだお茶に毒物が混入していたとみられる。
病院関係者は直後、「毒物摂取の可能性があるので緊急治療室に収容した」と説明したが、翌日には「毒物の兆候はない。自然な中毒かもしれない」と前言を翻した。
夫人の強い要求もあり、氏はドイツ・ベルリンの大学病院で治療を受け生命の危機は脱したが、しばらく入院を余儀なくされた。
ベルリンの病院や軍の病院が調べたところ、「ノビチョク」と同系統の薬物が検出されたという。
この薬物は、1970年代―90年代初めにロシアで開発された神経剤で呼吸器を麻痺させる作用がある。
ドイツ政府報道官は、これによる中毒であることに「疑いの余地はない」と断定。メルケル首相(当時)は、「ナワリヌイ氏を沈黙させることが目的だった」とロシアを非難。アメリカ、イギリスに加えEU(欧州連合)各国も同調した。
ナワリヌイ氏は21年に帰国後に拘束され、過激派団体を設立した罪などの名目で、22年3月に懲役9年、23年8月に19年の判決を受け刑務所に収監されている。ロシア内外で釈放を求める声が高まっている。
写真)イタリアのロシア人コミュニティの活動家が、現在ロシアで投獄されている野党の指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏とすべてのロシアの政治犯の自由のために行ったサンティアポストリ広場でのデモ イタリア・ローマ 2023年1月21日
出典)Simona Granati - Corbis/Getty Images
■ 亡命した元スパイの家に神経剤
ノビチョクによるテロは、この時が初めてではない。
2018年3月、イギリス南西部の小都市ソールズベリのショッピングセンターのベンチで、ロシア参謀本部情報総局の元大佐とその娘が倒れているのが見つかった。
幸い、娘は軽症だったが、当時66歳の父親は一時重体に陥り、かろうじて生命をとりとめた。
スコットランド・ヤード(ロンドン警視庁)が父親の自宅を調べたところ、玄関ドアから高濃度のノビチョクが検出された。ドアに触れれば体内に取り込まれるように細工されていたという。
元大佐は現職中、イギリスの工作員だったとしてロシアで禁固刑を受けたが、スパイ交換で釈放された後、英国に亡命していた。娘はモスクワから父親を訪ねてきて被害にあった。
国を追われて海外でひっそりと暮らす高齢の元スパイと、祖国から訪ねてきた娘とのつかの間の語らいさえ狙う冷酷、執念深さには、戦慄するほかはない。
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