重要課題は先送りされた 【2024年を占う!】日本経済
Japan In-depth / 2023年12月25日 11時0分
論点3:地球環境制約
地球環境制約の問題については、先頃のCOP28会合にも表れているように感じるが、様々な努力は重ねられているが、結局、はかばかしい前進はなかったというのが2023年だったのではないだろうか。
そもそも、市場メカニズムで正確に評価できない外部不経済を、社会の知恵により経済活動に具体的に織り込もうというのがこの取り組みだという整理もできる。企業にとっても、社会にとっても、長期的には避けられない出費でも、短期的には費用の増加であることは間違いない。したがって、背に腹は変えられない的な話が少しでも出てくれば、すぐに取り組みは後退してしまう。
他方で、2023年、地球の北半球はとても暑い夏を経験した。日本では、12月に入っても最高気温が25度に達する夏日となる地域が本州であったほどだ。専門家は因果関係について色々なことを言っているが、生活実感としては温暖化が目の前の現実となっている。多くの市民が受け入れることのできるかたちで、この問題に取り組む必要性はさらに増している。
1年前、この点に関しては、「現在の企業や金融商品の評価のスタンダードは、なお短期的なリスク・リターンを重視するものだ。地球環境制約、さらにはSDGs全般を意識した、より長期の、かつ株主だけでなくより広いステークホールダーを視野に入れたものにはなっていない。まだスタンダードが確立はされていないが、新しい評価のかたちが整ってくれば、必ずしも即低成長ということにはならないかもしれない」と記述している。甘い判断だった。
2024年、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)が公表した非財務情報開示の国際基準の第一弾が、国内基準として日本のサステナビリティ基準委員会(SSBJ)から出される予定にある。そうしたことを契機として、将来の世代に少しでも良い地球環境を残せるよう、この分野では地道な努力をもっと積み重ねていかなければならない。
論点4:新しいパラダイム
冒頭で述べた通り、1年前には「随所に新しいパラダイムへの移行を感じさせる要素がある」と記した。思えば、これはコロナ禍の最悪期を過ぎたという感覚が生んだ一種の高揚であったのかもしれない。当然だが、2023年には新しいパラダイムへの移行がそう簡単でないことを思わせる事象もたくさん起こった。中東での紛争などはその典型だ。反対からみれば、楽観を支持する新しい証拠が乏しかった気がする。
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