米中のネオ・デタントが始まる?(上)【2024年を占う!】国際
Japan In-depth / 2024年1月1日 23時10分
しかも、志願兵の給与が大幅に引き上げられたことから、中央アジアなどの恵まれない層が応募し、その給与は故郷に送金されて、家族の生活向上にも一役買っている。このことが、さらにGDPを押し上げていることは言うまでもない。
言うなれば、軍需インフレによる「見せかけの好況」なのであるが、将来の不安よりも、目先の収入が増えて欲しいものが手に入る方がありがたいと考えるロシアの一般市民を、誰が責められるだろうか。
▲写真 ロシアの首都モスクワの赤の広場にあるスパスキー・タワー横でコーヒーカップに乗る親子。(2023年12月2日 モスクワ)出典:Photo by Contributor/Getty Images
経済制裁に話を戻すと、西欧諸国は経済制裁のため、ロシアからのエネルギー(石油や天然ガス)輸入量を制限し、価格の上限を設けるなどしたが、これがいかなる結果を招いたかと言うと、たとえばドイツなど、ガスの備蓄が底を尽きかけており、対応を誤ればこの冬、凍死者が続出しかねない、とまで言われる有様だ。
ここでもまた漁夫の利を得ているのが中国で、西欧諸国に売れなくなったロシアのエネルギーを買いたたき、一方では前述の「見せかけの好況」を享受するロシアを、格好の市場としているのである。
江戸時代の、世に言う大岡裁きの中に「三方一両損」と呼ばれるものがある。
三両を拾って届けた男がいたが、落とし主は、もうあきらめたお金だから、拾った方のものに、などと言う。一方、拾った男は「親の遺言で、仕事の手間賃以外の金は受け取れない」と言い張る。
二人の正直と一本気に感じ入った南町奉行・大岡越前守は、懐から一両(現在の貨幣価値にして8~10万円らしい)取り出し、計四両として二人に二両ずつ与えた。
「二人とも、三両受け取れるべきところ、二両となった。奉行(自分のこと)も一両出した。それぞれ一両ずつ損をしたということで、了見(納得)せよ。これにて一件落着」
という話だが、この伝で行くと、ロシアと西欧諸国が一両ずつ損をして、中国だけが二両得していることになるではないか。
パレスチナ、と言うより中東においても、中国が一人勝ち状態だ。
今次の戦役において損耗はなはだしかったロシア製(多くは旧ソ連製)兵器が、その市場価値を大きく下落させてしまったことは、すでにマスメディアでも報じられているが、加えて、その損耗を補填すべく、一度売った軍需品、たとえばエジプトに売った軍用ヘリコプターのエンジンなどを買い戻している。これでは、商取引の相手としての評価まで下がる。
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