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米中のネオ・デタントが始まる?(下)【2024年を占う!】国際

Japan In-depth / 2024年1月2日 23時0分

そもそも時の日本政府でさえ、このニクソン訪中については事前になにも知らせておらず、茫然自失となった政治家や外交官は、一人や二人ではなかったと伝えられる。





どうしてこのようなことが可能になったのかと言うと、ひとつの大きな理由は、ニクソン大統領が、キッシンジャー博士の「新しい勢力均衡論」を受け容れたことにある。





煎じ詰めて言うなら、米ソ二極化の時代はそう長くは続かない。この先は、中国、日本、それに統合されつつあるヨーロッパが、国際社会でそれぞれ存在感を示すようになるであろう、とする考え方だ。当時としては非常にユニークであったこの外交理論は、前述の米ソのデタントにも少なからぬ影響を与えている。





今年11月29日、キッシンジャー博士は永眠。享年100の大往生であった。合掌。





ちなみに、米中の正式な国交回復は1979年のことで、これに関しては日本の方が先んじた。1972年9月29日、田中角栄首相が中国を訪問し、周恩来首相と会談。日本が「中華人民共和国を唯一の合法政府と認める」との声明を発表。中華民国とは自動的に断交した。





この会談に毛沢東主席は立ち会わなかったが、会談を終えた直後の二人に、





「もう喧嘩は済みましたか?一度とことん喧嘩をしないと、本当の仲良しにはなれません」





と声をかけた。





これについて、今では米中の国交回復に向けて、日本が「露払い」を演じさせられたのだと見る向きが増えてきているが、当時の日本のマスメディアは中国礼賛一色だと言って過言ではなく、前述のような経緯で毛沢東が「聖人」になったきらいさえあった。





またしても「ちなみに」だが、朝鮮戦争で敵味方になった米中と異なり、日本は中華人民共和国に対して、一度も国交断絶を宣言していない。このため国交回復でなく「正常化」と称されている。





ここであらためて、前回の最後の方で触れた、米英が中国との対話路線に舵を切るのではないか、という観測について、根拠をあらためて掘り下げてみよう。





と言っても、それほどややこしい話ではない。





冒頭で述べたところの、米ソがデタントに傾斜した背景を今一度読み直していただきたい。その上で、オイル・ショックを新型コロナ禍に置き換えていただけたならば、私の言わんとするところが、容易にご理解いただけると思う。





今や米中は、競争で軍備を拡張しながら台湾海峡でにらみ合う、という状況に、主として経済面で耐えかねるようになりつつあるのだ。





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