風雲急を告げる東アジア情勢 Part1「台湾有事」Japan In-depth創刊10周年記念対談 元防衛大臣小野寺五典衆議院議員
Japan In-depth / 2024年1月6日 22時0分
国を守る大事な弾薬は自前で作っていくべきだとして、今後他のミサイルも、段階的に国産で開発していくつもりだが、今まで反撃能力・相手への攻撃能力を持たないと表明して来た日本が急に切り替えて開発に舵を切るのは、時間を要するものになる。そこで、まずは使える外国産のものを一定数輸入しておき、徐々に国産を主戦力として置き換えていく、という考えで進んでいる。
例えばアメリカ産のトマホークは威力も高く、日本のイージス艦の発射用セルにうまく収まることから、使い勝手が良いため、導入する価値がある、と小野寺氏は述べた。
アメリカがトマホークを売っているのはごく限られた国なので、日本が同盟国の中でも特別な位置づけにあることを示すものになるだろう。現在は2年程で実戦配備ができるように、整備が急がれているという。
■ 認知戦
実は、台湾への攻撃はすでに行われており、日本にもその影響が出てきている。戦場は「SNS」だ。
誰が書いたかわからない書き込みから情報を得る時代、台湾では実際に、大陸から組織的に書き込みを行うことで大衆的な意見だと思わせる攻撃が行われた。それが「認知戦」だ。
例えば、「核を持っている中国にかなうはずがない」だとか、「ウクライナ戦争で、アメリカは手を出せていない、実際には戦ってくれないだろう」。また、「戦う前に降伏した方が良い」といった書き込みがSNS上に見られた。このように、出どころ不明ながらも大量に発信されることで「みんなもそう思っている」と大衆に思い込ませ、戦闘意欲を削ぐ「認知戦」が実際に行われているのだ。
こういった、サイバー攻撃以前の「認知戦」は今後警戒を高めていくべき分野だと小野寺氏は強調した。認知を変えていく手法は古くから行われており、たとえて言えば、「霧雨のように次第に相手に染みこんでいき、気づいたときはずぶ濡れになっている」。そんな恐ろしさがある。もう戦いは始まっているのだ。
こうした敵の戦術に備えるために、学校教育でのタブレット学習と並行して、リテラシーを高めていくことが重要だ、と小野寺氏は語る。出会い系サイトや闇バイトなど最近の犯罪の舞台はSNS上が主になっている。便利だけれど、危険性がはらむことを認識し、教育していく必要があるのだと小野寺氏は指摘する。これは安全保障上でも重要なことである。
■ 防衛装備の強化
防衛装備の強化には5〜10年かかるのに対し、安全保障上の国家間の関係は一瞬で変化しうる。
この記事に関連するニュース
-
「おもちゃメーカー」が台湾有事のカギを握る? 日本企業に必要な危機感
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月8日 6時15分
-
北朝鮮軍に"頼る"ロシアの姿勢が激変した事情 ついに交戦開始、北朝鮮側が得るものは?
東洋経済オンライン / 2024年11月6日 10時0分
-
中国の台湾戦略、そして尖閣戦略は その3 台湾攻略はいまや多様
Japan In-depth / 2024年10月29日 17時0分
-
中国、対抗措置を示唆 米が台湾への武器売却承認
ロイター / 2024年10月28日 13時32分
-
石破首相が提唱「アジア版NATO」は実現可能か? 現実に独裁国家が核の力で現状変更を考えている
東洋経済オンライン / 2024年10月27日 17時0分
ランキング
-
1神戸港沖合で貨物船と押し船衝突、押し船の3人投げ出され2人救助されるも1人死亡…1人不明
読売新聞 / 2024年11月24日 0時6分
-
2標津川で「流された」男児が死亡 通報から3時間後に下流で発見
毎日新聞 / 2024年11月23日 20時56分
-
3【物価高】年末年始のおせちにも影響か サケ不漁でことしはイクラが高い!? 《新潟》
TeNYテレビ新潟 / 2024年11月23日 17時55分
-
4【裁判詳報】不可解な関係 20年にわたり売春の収入を”渡し続けた女”と”受け取り続けた女” 強盗致死事件 共謀はあったのか”渡し続けた女”が証言
RKB毎日放送 / 2024年11月23日 15時4分
-
5石破首相、日朝首脳会談に意欲「会いもせず非難しても始まらない」…家族会は「タイムリミットがある」
読売新聞 / 2024年11月23日 19時13分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください