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ボストン・ウェルネス通信 その3 環境有害物質と私たちの健康:水銀とPFASの話

Japan In-depth / 2024年1月27日 11時0分

肝臓:肝酵素の変化





妊婦:高血圧または子癇前症のリスク増加





乳児の出生体重:わずかな減少





がん:腎臓がんまたは精巣がんのリスク増加





また、南カリフォルニア大学ケック医学部の研究者らは、2023年9月、卵巣がん、乳がん、皮膚がん、子宮がんを患っている女性は、体内の(PFAS)やビスフェノールA(BPA)などフェノール類のレベルが著しく高いとのことを報告しました(8)。





2023年7月の報告では、米国立がん研究所がん疫学遺伝部門の研究者らは、PFASによる水質汚染の主な原因は、空港や軍事施設において、PFASを含む水性膜形成泡(AFFF)を石油系火災の消火に使用していることと指摘します。研究者らは、空軍の軍人から採取した血液を解析し、PFAS化学物質であるPFOSと精巣がんとの間に直接的な関連性があることを発見しました(9)。





さらに、2023年12月の論文で、米国立がん研究所がん疫学遺伝部門の研究者らは、1986年から2010年までに800人の妊婦の血液検査を調べ、子供の健康状態と比較しました。その結果、PFOS(PFASの一種)への曝露レベルが最も高かった1986年から1995年の間に検査を受けた母親たちの子供は、急性リンパ性白血病のリスクが最も高まりました(10)。





水銀と同様にPFASは、臍帯血を介して母親から赤ちゃんに暴露する可能性があるのです。





●PFASは避けることができるか?





フェロー諸島ではPFASの生産は行われておらず、フェロー諸島の人々は、オハイオ川近郊のように高濃度の化学物質にはさらされていませんでした。ただし、フェロー諸島の血流中を循環するPFASのレベルは、アメリカやヨーロッパの平均値に近いものでした。ヴェイヘ博士はNYTに、「女性たちがゴンドウクジラを食べるのを止めたところ、体内の水銀を除去するのに3ヶ月かかりました。ところが、PFASを排出するには数日から70年かかります」(1)といいます。私たち個人のレベルでは、これらの化学物質の害を避けること、取り除くことは難しいのです。





2024年1月18日、米疾病管理予防センター(CDC)が発表したガイダンス(11)では、医師が、PFASの血液検査を増やすことを検討するよう奨励しています。血液検査は、「臨床医に最近および過去のPFASへの曝露を知らせる、曝露の低減、健康への影響の認識向上、患者の心理的な苦痛を減らす」可能性があります。ただし検査では、曝露源の特定はできず、特定の種類のPFASのみ検出し、将来の健康への影響を予測には役立ちません。さらに、今のところ体内のPFASを減らすための承認された治療法は存在しません。





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