Jパワー「大崎クールジェン」でカーボンネガティブを目指す
Japan In-depth / 2024年2月1日 23時0分
西村康稔前経済産業相は、去年12月6日の衆議院経済産業委員会で「電力の安定供給を頭に置きながら、石炭火力の発電比率をできるだけ引き下げていくのが基本だ」としながら、「急激に石炭火力を抑制することになれば、電力の安定供給に支障が生じかねない」と述べ、さらに「2050年に向けて、水素、アンモニア、特にアンモニアの混焼、最終的には専焼していくということでCO₂が出ないような形にしていく、あるいは、出てきたCO₂をCCS、CCUSで貯留をしたり再利用したりということで、脱炭素型の火力発電に置き換える取組を推進していきたい」と述べた。
化石賞については、「日本の技術、新しいテクノロジーを理解されていない方々が言っているのではないか」と述べ、「技術で、イノベーションで、カーボンニュートラルと経済成長、エネルギーの安定供給をしっかりと確保していきたい」とした。
日本が脱炭素に向け、さまざまな技術開発、イノベーションに取り組んでいることは、もっと広く知られるべきだろう。なぜなら、それらの技術が広まれば、世界全体のCO₂削減に貢献する可能性があるからだ。
脱炭素のかけ声のもと、再生可能エネルギーの導入が世界中で加速しているが、石炭火力はいまだ多くの国で重要な電力供給源だ。
その石炭火力、日本で発電効率の向上を図るため研究開発が古くから行われていることは意外と知られていない。その一端を紹介しよう。
■ 大崎クールジェンプロジェクト
「大崎クールジェンプロジェクト」というものがある。石炭ガス化燃料電池複合発電とCO₂分離回収技術を組み合わせた「革新的低炭素石炭火力発電」の実現を目指す実証事業である。そのプロジェクトを推進している大崎クールジェン株式会社は、中国電力株式会社と電源開発株式会社(以下、Jパワー)の出資により2009年7月に設立された。
「クールジェン」という呼称は、2009年に提言された国の政策「Cool Gen計画」から来ている。石炭火力発電から排出されるCO₂を大幅に削減し、ゼロエミッション石炭火力発電を実現することを目指した実証研究プロジェクト計画だ。実証試験は、経済産業省およびNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の支援のもと、2012年度から実施されている。
このプロジェクトを知ってから一度取材したいと思っていたが、チャンスがなかなかなかった。そして2018年に念願かない、ようやく訪問できた。(参考:エネルギーフロントライン:「石炭ガス化燃料電池複合発電実証事業」大崎クールジェン 環境に優しくエネルギー安全保障上も注目 2018.06.26)
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