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福島市唯一の酒蔵「金水晶酒造店」新たな蔵での酒造り、間もなく

Japan In-depth / 2024年2月16日 12時47分

蔵元の近くには、大昔から金山があり、そこから湧き出る名水は水晶沢へと注がれていた。明治初年、東北行幸に来られた明治天皇が、この湧き水をたいそうお褒めになり、「金明水」と命名されたとの逸話が残っている。そうしたことから、「水晶沢の金明水」で造った酒、そして「金と水晶が採れる沢の水で造りはじめた」酒ということで、金山の「金」、水晶沢の「水晶」をとり、「金水晶」と命銘され今日に至っている。


■ 斎藤美幸社長が家を継いだわけ


 斎藤氏が家業を継いだのは実は9年前の2015年。家業とは一線を画してジャーナリストとしてキャリアを積み重ねてきた斎藤氏が、なぜ家を継ぐことになったのか。ここに関しては斎藤氏が色々なメディアでインタビューに答えているので簡単に記すが、やはり一人っ子だったことが大きいのではないかと筆者は想像する。


多くの家族経営の会社を取材してきたが、親から言われなくても子供が家に戻ることが多いことに驚く。


親心から、「家を継がなくていいよ。お前の好きな道を歩みなさい」。そう子供に話す経営者は多い。しかし家業を持つ家では、子供は親の苦楽をずっと見て育つがゆえに、やがて自分も家業を継ぐんだ、という気持ちを知らず知らずのうちに育んでいくものなんだと思う。


斎藤氏自身が述懐しているが、東日本大震災後、斎藤氏は、「福島市、伊達市、伊達郡で一件だけの造り酒屋になってしまった」ことに気づいたことが大きかったという。


「地元の酒を無くしていいのか」。


その想いひとつで、家を継ぐことを決めた。


それまで商売とは無縁の人生。ましていわんや、酒造りなんて・・・。それは簡単な決断では無かったはずだ。


しかし、斎藤氏が2018年に社長になってからも、金水晶酒造店は着実に実績を上げ続けている。


全国新酒鑑評会で金賞15回、インターナショナルワインチャレンジゴールドメダル、純米酒大賞2年連続金賞など吟醸酒、純米酒ともに評価が高い。



写真)数々の表彰状の前に立つ斎藤美幸社長 ⒸJapan In-depth編集部


「福島市唯一の造り酒屋を残すべき」。


その一心でがむしゃらにやってきた。その斎藤氏を襲ったのはまたも自然災害だった。


■ 明治からの蔵が全壊判定に


2022年3月16日23時36分。マグニチュード7.4の福島県沖地震が発生した。それにより明治時代に建てられた仕込み蔵は全壊判定を受けた。金水晶酒造店は廃業の危機に直面したのだ。


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