次期装輪装甲車、AMV採用を検証する その2 AMVのライセンス生産によって日本の装甲車事業は壊滅する
Japan In-depth / 2024年3月8日 12時46分
新型装甲ドーザーには大きな疑惑がある。これは日立とトルコのFNSS社の競合となったが日立案が1億円、対してAACEは2.6億円程度であった。書類審査だけで日立が契約を取った。だが試験用車輌の調達費用は一両で6.347億円に高騰している。これだけ高騰したのであれば、普通は試作調達を再考するだろう。
▲写真 新型装甲ドーザー(防衛省提供)
防衛省は2023年、新型装甲ドーザー計30両の調達を予定しており、調達単価を5.6億円としていた。だが、2023年度予算では36.5億円で5両が調達される。単価は7.3億円である。性能的にはFNSS社の提案するAACE(Amphibious Armoured Combat Earthmover)が圧倒的に上だった。
AACEはエプロンの裏側に「ボウル」と呼ばれるスペースがあり、車体に排土を搭載して自重を重くできる。これによって車体は軽量でも排土機能を高める機能がある。この場合自重は8トン重くなり、重量は24.1トンに増加する。このため重量26トンの新型ドーザーに匹敵する排土機能を有している。AACEは軽量なので日立のドーザーでは不可能なC-130H輸送機でも空輸が可能である。また船舶で輸送する場合、特に島嶼防衛においての輸送では軽量である方が有利であることは言うまでもない。
▲写真 AACEは車体前部のボウルに排土を入れて自重を重くできる。 提供:FNSS
更にAACEは水陸両用機能がある。ウォータージェットを装備しており、水上を時速8.6キロで航行できる。つまりAACEは海岸など水際での工事でも使用できる。対して新型ドーザーにはその能力はない。これは陸自が重視している島嶼防衛では極めて有用な能力だ。それを何故か陸幕は要求仕様で求めなかった。
▲写真 AACEは水陸両用だ。 提供:FNSS
また新型ドーザーは遠隔操作機能やCBRN(Chemical・Biological・Radiological・Nuclear:化学・生物・放射性物質・核)システムを有していない。
AACEは値段が三分の一で圧倒的に優れている。トルコというと途上国だからたいしたことはないというイメージがあるかもしれない。だが、軍事技術の発達は凄まじく装甲車両に関しては既に日本のレベルを遥かに追い越している。性能的に劣った国産品を、単に国産というだけで他国の何倍も高価で能力の低い装備を調達している。(参考:陸自新型装甲ドーザーの調達は国産ありきでは |
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