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旧統一教会のニューヨークのホテルとは

Japan In-depth / 2024年3月15日 12時33分

それを見た私は、統一教会はついに権利を売り渡して、そこを引き払ったと勝手に思いこんでいたのだが、冒頭の報道によれば、実はこの建物、今でもずっと旧統一教会が保有しているというのである。調べてみると、経営権を移譲しただけで、購入からほぼ半世紀たった今も、ホテルのオーナーは依然として旧統一教会であるとのことであった。





なぜ、その報道が興味をひいたかというと、1990年代、統一教会による霊感商法などの行為が社会問題化し、ホテル周辺で様々な取材をしたことが鮮明に思い出されたからだ。あれから30年も経つが、このニュースで記憶が蘇った。





当時、日本の有名タレントらが韓国の合同結婚式に参加したこともあり、統一教会に関する報道はピークにあった。私のいた映像プロダクションには、統一教会の米国本部として知られることになったこのホテルの撮影依頼がかなり頻繁にあった。





だが、取材はいつも気が重かった。





ホテル周辺を路上からテレビカメラで撮影していると、中から教会関係者と思しき人たちが出てきて「何やってんだ」とばかりに毎回撮影を妨害された。そういうことを繰り返して、その後、ビルを撮影する時はかなり遠巻きに撮影をせざるを得なくなり、現場に出向くたびにストレスがあった。





統一教会の信者勧誘手口として「ビデオセンター」という場所にターゲットを誘い込み、洗脳し、信者を増やす、という手法がその頃は大きく報道されていて、同僚カメラマン達と「ビルに誰か潜入して撮影してこい」という話になったこともあったが、記者も含め、誰も実行に移すものはなかった。





ホテルの一階には「Sonobana(園花)」という日本食レストランがあり、外から観察している限り、働いている人達は皆、このホテルを寮とするか、通いの信者の人たちらしかった(1997年に、ここはアメリカンダイナーに変わったが、やはり、当時は教会の経営だった)。(注1)





ニューヨークには当時、看板に「花」がつく日本食のレストランがいくつかあり(赤い花、黄色い花、など)それらはほぼすべてが、教会関連の店とされ、「園花」もその一つだった。(注2)





まだニューヨークには指の数くらいしか日本食レストランはなかったが、洗脳工作の報道がピークにあった当時は、現地在住の日本人は気味悪がって、それらの店には誰も近づかなかった。





だが教会関連とは知らない日本人観光客は、現地で日本食に飢えて、それらのレストランに吸い込まれていった。





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