男子にもHPVワクチン接種広がる
Japan In-depth / 2024年3月16日 12時37分
安倍宏行(Japan In-depth編集長・ジャーナリスト)
【まとめ】
・HPVワクチンの男子への接種支援が東京都内で広がっている。
・世界では、男女ともにワクチンを接種して子宮頸がんの撲滅に向かっている国もある。
・正しい情報を収集し、自分と自分の大切な人の命を守ることがなにより重要。
ようやくここまで来たか・・・。今月頭、以下の記事を読んで感慨深かった。
「HPVワクチンを男子にも 東京都内自治体で補助拡充」(日本経済新聞 2024年3月6日朝刊)
■ なぜ男子にHPVワクチン?
HPV、すなわち、ヒトパピローマウイルス(human papillomavirus)は子宮頸がんの原因となる。そのワクチンの男子への接種支援が東京都内で広がっている、という記事だった。
東京都中野区が2023年8月から、男子に対するHPV任意予防接種費用助成の実施を開始した。今年度からは新たに都内の14区が開始する予定だ。
子宮頸がんは、毎年約10000人が罹患し、約3000人が死亡している。(参考:国立研究開発法人国立がん研究センター「がん情報サービス」子宮頸部)近年特に20代など若年層に多く、「マザーキラー」とも呼ばれる。
なぜ男子にワクチンを?と思う人がいるかも知れないが、感染経路を考えてみるとよい。HPVは性交渉時だけではなく、ペッティングなどで伝播する。男女双方にワクチンを打つことが、感染予防の観点から有効であることはいうまでもない。
性体験を始める直前、直後にワクチンを打つことが予防に効果があるため、その世代へのワクチン接種が各国で行われている。
すでにオーストラリア、アメリカ、イギリス、カナダなど多くの国が、女子だけではなく男子へのHPVワクチン接種を行っている。
■ HPVは男性のがんの原因にも
そして、HPVは男性のがんの原因にもなっていることはあまり知られていない。陰茎がんや肛門がんなどがそうだ。
また、男性に急増している中咽頭がんの多くも、オーラルセックスなどによるHPVの感染によるものだと見られている。(参考:日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「HPV関連中咽頭がん 世界で急増中!ワクチン接種が“予防の要”」、アメリカ疾病予防管理センター:CDC「HPVと中咽頭がん」)
中咽頭とは、「咽頭の中間部分で、軟口蓋(口の上部の奥にある柔らかい部分)、口の奥の突き当たりの壁、口蓋扁桃、舌根(舌の付け根部分)が含まれる。
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