沖縄県議選、「オール沖縄」は生き残れるか
Japan In-depth / 2024年6月12日 14時0分
目黒博(ジャーナリスト)
「目黒博のいちゃり場」
【まとめ】
・沖縄で重要な県議会議員選挙が6月16日に投開票される。
・玉城知事を支える「オール沖縄」が過半数を獲得できるかが最大の注目点。
・「オール沖縄」、自民党両陣営とも問題を抱え、情勢は流動的で、勝敗の行方は見えにくい。
全国ニュースで取り上げられることは少ないが、沖縄で重要な選挙が6月16日に投開票される。県議会議員選挙だ。本土では政治資金問題で自民が追い込まれ、岸田政権が存続するかどうかが話題になっている。だが、沖縄県議選では、玉城デニー知事を支える「オール沖縄」が過半数を獲得できるかどうかが、最大の注目点だ。
現在は、県政与党の「オール沖縄」と、野党(自公と中立など)が、ともに同数の24議席を有する。世代交代が進み、激戦になっており、勝敗の行方を予測するのは難しい。
<勢いを欠く「オール沖縄」は生き残れるか>
もし、知事支持派が少数与党に転落すれば、人事や予算など重要施策で野党(自民、公明、維新など)に妥協を強いられる。その結果、すでに低迷する「オール沖縄」陣営は崩壊しかねない。そして、2026年の知事選で、玉城氏の3選の道筋が危うくなる可能性すらある。
そのため、同陣営も背水の陣で選挙戦を戦っているはずなのだが、司令塔不在の玉城知事派の足並みは乱れている。
知事を支えるグループの中では、共産党の組織力、情報の収集・調査能力、発信力が突出する。また、この党は陣営全体のために活動すると主張はするが、実質的には自らの党の利益を押し出すことも多く、体質は硬直している。他の政党やグループの同党に対する警戒心は強い。
さらに他の政党の状況も複雑である。沖縄では長らく革新系の中心を担ってきた社会民主党が2021年に分裂し、半分以上の党員が立憲民主党に合流した。今回の県議選では、同じ選挙区で両党が競合するケースもある。たとえば、元社民党の仲村未央県議が立憲民主党の代表に就任し、沖縄市区から出馬する。その選挙区に社民党も候補者を立て、遺恨試合の様相を帯びる。
また、かつては、社民党(旧社会党)と並んで革新系を代表する存在であったローカル政党社会大衆党は、内輪もめが続き、組織だった選挙戦ができる状況にはない。
この選挙で「オール沖縄」が少数派に転落する可能性が語られるが、その危機感をこの勢力の候補者たちがどこまで共有しているかは疑問である。社民党や立民党も含めて、「オール沖縄」系の候補者たちは、選挙戦になると、個人的な基盤の強化をひたすら目ざす傾向があり、同陣営に遠心力が働く原因となっている。
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